今回は、「スピッツの名曲・名盤」をご紹介していきたいと思います。
「スピッツ」といえば、言わずと知れた、世代を問わず愛される「国民的人気ロックバンド」です。皆さんも、これまでの人生の中で必ず一度はその曲を耳にし、口ずさんだことがあるでしょう。
10年以上前の曲であっても、時代の流れに色褪せることなく、今なお「名曲」として沢山の人々に歌い継がれています。
ロングヒットとなった楽曲はもちろんですが、皆さんは「スピッツ」についてどれほどご存じでしょうか。
実は、スピッツの中には、まだまだ「世間的には知名度の浅い名曲」というのも数多く存在します。
そんな「隠れた名曲」も併せて、これからランキング形式で「スピッツ楽曲」を解説付きでご紹介していこうと思います。
「スピッツ」とは、1987年に結成し、1991年にメジャーデビューを果たした日本を代表する「ロックバンド」。
メンバーは、草野マサムネ(ボーカル・ギター)、三輪テツヤ(ギター)、田村明浩(ベース)、崎山龍男(ドラムス)の四人で構成されています。
スピッツの名曲ランキング30選
1位 ロビンソン
スピッツの名曲ランキング第一位は、言わずと知れた国民的人気曲『ロビンソン』です。
この楽曲は、スピッツの中で最も売れた楽曲です。
「イントロから耳に残る美しいメロディ」と「独特な世界観の歌詞」が多くの人の心を掴んだのでしょう。
スピッツの楽曲は、その「歌詞の表現の奥深さ」からファンの間でも様々な「解釈・考察」が飛び交っています。
実は、『ロビンソン』もその例外ではありません。
『ロビンソン』といえば、サビの冒頭の「誰も触れない 二人だけの国」というフレーズがとても印象的なので、「恋人同士の純愛を描いた直球のラブソング」であるというのが世間的な認識なのではないでしょうか。
しかし、実は、ファンの間では、それとは別の興味深い考察がされていたりします。
この「ロビンソン」は一番の歌詞こそ、「恋人同士の日常を描いた」ように思えますが、よく見ると二番の冒頭から少し雲行きが怪しくなってきます。
結論から言えば、二番から突然曲の見方がガラッと変わり、ファンの間で、実は「死別した恋人たち」の曲なのではないかと言われているのです。
詳細な表現の考察については割愛しますが、2番Bメロの歌詞の
待ち伏せた夢のほとり 驚いた君の瞳 そして僕ら今ここで 生まれ変わるよ
引用元:『ロビンソン』作詞: 草野正宗
の部分に着目してみると、夢のほとり(死の淵)で「死んでしまった彼女」と再会を果たす瞬間を切り取った詞のようにも思えます。
そして、ここから、サビに入り、
誰も触れない 二人だけの国
引用元:『ロビンソン』作詞: 草野正宗
とお馴染みのサビが続くのですが、解釈が変わることで、最初に聴いたときとは180度印象が変わり、涙なしでは聴けない「切ない曲」になるのです。
曲を聴いていた感じ、これまで全くそんな風に感じなかったという方も多いのではないでしょうか。
実は、この現象にこそスピッツのとんでもなさが示されています。
通常、「世間的なヒット」を生み出すための法則として、「高い共感性」を示すことが大事だと言われています。 楽曲で言えば、「歌詞」の部分で人は多く共感するため、より「具体的な」感情や言葉、「分かりやすい」日常の描写などが敢えて選択されることも多いのです。
「抽象度」が増せば、それは「表現者としての、その人の世界観」に繋がっていくでしょう。
しかし、それに伴い「万人受け」することは難しくなります。 「スピッツの異常性」は正にここにあると思っています。
『ロビンソン』のように聴き手の数だけ解釈が生まれる歌詞ということは、それだけ全体を通して抽象度の高い表現が使われているということです。
それだけの文学的価値を保っていながら、世代を問わずこんなにも長く万人に愛されているというのはとんでもないことです。 「唯一無二を確立させながら世代を超えて万人受けする」ここにスピッツの凄さがあります。
ちなみに、この『ロビンソン』に関して、当時の草野さんはこの曲に対して実はあまり思い入れがなかったらしく、「ロビンソン」という意味ありげなタイトルも、旅行中にたまたま目に入った言葉をそのままつけただけなのだそうです。
「全く狙ったわけではない」という事実がまたスピッツの異才ぶりを表していますよね。
『ロビンソン』、文句なしの「名曲」ではないでしょうか。
2位 空も飛べるはず
第二位も言わずと知れた超有名曲のランクインです。
個人的に、スピッツの三大国民的ヒットソングといえば、『ロビンソン』、『空も飛べるはず』、『チェリー』の三曲だと思っています。
スピッツといえば、タイアップ曲の多さが圧倒的なのも特徴の一つとして挙げられます。そして、『空も飛べるはず』といえば、ドラマ『白線流し』の主題歌として起用されたことで一躍有名になりました。
作品の情感にぴったりとマッチした美メロとサビ頭の「君と出会った奇跡がこの胸にあふれてる」というフレーズのパンチラインが多くの人の心を掴んだことで、大ヒットに至った訳です。
ですので、『空も飛べるはず』といえば、青春時代の淡い恋を連想する人も多いのではないでしょうか。
しかし、実は、この『空も飛べるはず』もファンの間では、「死」を歌った曲なのではないかと考察されているのです。
具体的な内容を説明する前に、スピッツ楽曲を知るうえで欠かせない大事な知識があるのでここで触れておきたいと思います。
スピッツの楽曲のテーマの根幹にあるのは、「死」と「性(セックス)」
これは、スピッツ楽曲の作詞・作曲を担当する草野マサムネさんがメディアで実際に語った内容です。
スピッツには、表現の裏に隠れて表立ってこそいないものの、実は「死」や「性」を隠喩しているのではないかと思われるような楽曲が実に多く存在するのです。
『空も飛べるはず』もその内の一曲であり、「死」をテーマにした曲ではないかと言われています。
言われてみれば、『空も飛べるはず』の歌詞は、冒頭からかなり抽象度の高い難解なものになっています。
幼い微熱を下げられないまま
引用元:『空も飛べるはず』作詞: 草野正宗
神様の影を恐れて
ラブソングと思って聴いている内は分からなかった表現も、根底にある草野イズムを知ったうえで聴けば、ほのかに「死」の香りが漂っているようにも感じます。
こうして漁っていくと、今みたいにハッとする瞬間が、スピッツ楽曲を聴く上では何度も訪れます。
これこそまさに、スピッツを深く楽しむ上での醍醐味の一つと言えるでしょう。
ちなみに、この曲はMVについても色んな考察がされていますので、興味のある方はぜひ一度調べてみてください。
ちなみに、曲の解釈は人それぞれ存在し、そのどれもが正解だと思います。
実際、草野さん自身もこれまで歌詞の意図を明かすことはせず、それについて尋ねられた際も「タネを明かすと意外につまらなかったりする」と語っています。
『空も飛べるはず』は、誰かにとっての「ラブソング」でもあり、「死」を表現した歌でもあり、「淡い青春の曲」でもあるのです。
多くの人の心にそれぞれ最も寄り添う形で世代を超えて歌い継がれていくこの楽曲こそ「名曲」と呼ばずして何と呼ぶでしょうか。
3位 運命の人
3位にランクインしたのは『運命の人』です。
この流れでくれば、『チェリー』が来そうな感じではあったのですが、ここは『運命の人』を選ばせていただきました。
個人的にこの楽曲は、スピッツの全楽曲の中で著者が1番「歌詞が好きな曲」なのです。
曲自体はアップテンポで、とても明るく、16ビートの跳ねたリズムが心地よい楽曲で、ライブでは打ち込みと草野さんの軽快な16ビートのアコギのストロークから始まり、そこから徐々にドラム、ベース、ギターと加わっていきます。
上記2曲が「横揺れ系」のバラード調のノリなのに対して、この『運命の人』は、「縦に思わずノってしまう」ようなミドルナンバーです。
そして特筆すべきは、何といっても歌詞の秀逸さ。
バスの揺れ方で人生の意味が分かった日曜日
引用元:『運命の人』作詞: 草野正宗
という一節から曲が始まります。
のっけから草野節が炸裂です。こんな歌詞はまず「草野マサムネ」にしか書けないでしょう。
この「もう少しで分かりそうなんだけど、やっぱり分からない、届きそうなんだけど、あと一歩届かない」絶妙な表現の具合、伝わるでしょうか。
パッと目にしたときに、「なんか深い!」と思って意味を考えてしまうような、でも、考えれば考える程どんどん分からなくなって深みにハマっていくこの感じがあなたにも伝われば、あなたはもう「草野マサムネ」の虜です。
ちなみに、同じメロディーの二回し目では、
愛はコンビニでも買えるけれどもう少し探そうよ
引用元:『運命の人』作詞: 草野正宗
と続くのですが、もはや芸術の域といえます。
スピッツの楽曲は曲として聴くともちろん素晴らしいのですが、とりわけ草野さんの書く詞は、文章単体で追っても「詩」として存分に味わえる奥深さがあります。
むしろ、曲のエネルギーに任せて何となく聴き流していた箇所にこそ、「実はものすごい言葉が乗っていた」なんてことがスピッツにおいては、ザラにあります。
著者も始めは『運命の人』のメロディーの軽快さと耳馴染みの良さに、あまり歌詞の意味を意識して追ってはいなかったのですが、とあるきっかけで歌詞を見たときに衝撃を受けました。
この曲がきっかけでスピッツの虜になったといっても過言ではありません。
この曲の歌詞の秀逸さの真髄は、実はサビにこそあると思っています。
引用元:『運命の人』作詞: 草野正宗
走る遥かこの星の果てまで 悪あがきでも呼吸しながら君をのせていく
I need you 会えて ただのユートピアも汚れた靴で通り過ぎるのさ
自力で見つけよう神様
曲を耳だけで聴いていた限りでは、上記のような解釈でした。
イマイチ意味が掴み切れない部分もあったのですが、いい具合に言葉がハマっていたので正直あまり気にしていませんでした。
しかし、よくよく歌詞カードを見てみると
走る 遥か この地球(ほし)の果てまで
悪あがきでも呼吸しながら君をのせていく
アイニージュ 敢えて無料(タダ)のユートピアも
汚れた靴で通り過ぎるのさ
自力で見つけよう 神様
引用元:『運命の人』作詞: 草野正宗
だったのです。
「会えて ただのユートピアも」ではなく、「敢えてタダ(無料)のユートピアも」だということが、歌詞を文章として目で追ったことで初めて分かったのです。
また、このことにより、サビの歌詞が「横道にある目先の幸せに捕らわれないで、たとえ地道でもいいから、自分の信じられる道を君と歩いていくよ」という決意の力強さを表した歌詞であることを実感し、それを受けての『運命の人』なんだなと感銘をうけました。
この楽曲は、Aメロなどでは、どことなく「何気ない日常感」が漂っているのに対して、時に「人生」だったり、特にサビでは「地球」や「神様」といった、「日常よりも遥かにスケールの大きなワード」が頻繁に出てきます。
これもまた、人智を超えたスケールの言葉を使うことで、捉えがたい「運命」というテーマの大きさ・スケール感を秀逸に表現したのではないかと考えています。
草野さんの言葉選びのセンスが光る「名曲」です。
4位 君が思い出になる前に
こか哀愁のある80~90年代当時を思わせる「歌謡サウンド」がとても美しい楽曲です。
スピッツ楽曲では、過去の栄光だったり、憧れた君との日々だったり、そういう欲しかったものが手に入らなかった、しかし、失われてしまったからこそ美しいというようなカタルシスを表現した曲が多く、また、そういったテーマと相性が良いと個人的には思っています。
この曲こそまさに、その代表ともといえる「名曲」ではないでしょうか。
タイトルから既に「君が思い出になる」という「失われることへの哀愁、儚さ」が漂いつつも、曲が進むにつれ、とてつもなく美しいと感じてしまうのはどうしてでしょうか。
「ノスタルジックさ」という点において、この曲以上の曲は思い当たりませんでした。
その一役を担っているであろう、ギターの甘いクリーントーン、そして、その後ろで深く響くスネアの残響感が何とも素晴らしいのです。
個人的に、この曲の持つ独特の哀愁感は「崎山さんのドラム」があってこそだと感じています。
今後、いくつも紹介することになりますが、スピッツにおいて「崎山さんのドラム技巧」は絶対に切り離せません。
この曲においては、特別技術的に難易度の高いことをしているわけではないのですが、要所要所で入るタムだったりシンバルのフレーズが絶妙に素晴らしいです。
感性的な話になりますが、「マニュアルにはないのに、一度見せられてしまうと、逆にもうそれ無しでは物足りなくなってしまうような」、そんな風なドラムを叩いていると言えばいいのでしょうか。
平たく言えば、曲の持つ魅力を最大限引き出せる方法を知っていて、常時それを体現し続けているのが崎山さんなのです。
しかし、これは崎山さんのみではありません。
スピッツは、各々が楽曲を一番輝かせるための演奏に徹していると言えます。
当たり前に思われるかもしれませんが、この点における「スピッツの凄さ」を以後の楽曲紹介でもっと深く掘り下げていきたいと思います。
5位 夜を駆ける
5位は『夜を駆ける』です。
この曲は、「世間的な知名度」こそあまりありませんが、実は、ファンの間では「名曲」として非常に人気が高い曲です。
それゆえ、2020年に大ブームとなり、話題を呼んだYOASOBIの楽曲『夜に駆ける』と名前が酷似していることから、ファンの間でかなり話題になり、中には勘違いを起こしてしまう人もいました。
ちなみに、筆者もその一人であり、『夜に駆ける』が世間でバズり始めた際に、どうして「2002年に発表された曲」が今になって注目されているのかと本気でドギマギしてしまいました。
現在では、『夜に駆ける』があまりに有名になりすぎたため、googleで『夜を駆ける』で検索しても、上位がすべてYOASOBIで埋め尽くされるというちょっとした小ネタがあります。
『夜を駆ける』に話を戻しましょう。
ファン人気の高い名盤『三日月ロック』の1曲目を飾る楽曲です。
これまでは、歌謡的な曲が多かった反面、この曲で改めてスピッツが「ロックバンド」であることを思い知らされることとなります。
切なく響くピアノのイントロは一度聞いたら忘れられない程に、心を掴まれる「名イントロ」であることは間違いありません。
スピッツの中でも、おそらく3本の指に入るでしょう。
8小節のイントロで、その大義名分を存分に果たした後は、以後、8小節ごとに曲が展開されていき、サビへ向けて徐々に「焦燥感」が増していきます。
細かい点では、Aメロでフロア全体に響き渡るようなスネアのフラムだったり、ちょこちょこ入る16分のハイハットフレーズなんかがたまりません。
ここでも、ドラムス崎山さんの職人技が光ります。
そして焦燥感マックスで迎えたサビでの、タイトル通り「夜を駆けている」足音のようなドラムフレーズは本当に圧巻です。
ギタリスト・三輪テツヤの重たく歪んだディストーションサウンドも相まって、「ロックバンド・スピッツ」を代表する一曲となっています。
6位 渚
6位は『渚』です。
崎山さんのドラム技巧を語る上で、この曲ほど彼の特異性があふれ出ている曲はないのではないかと思わせられる一曲です。
この曲は、草野さんがシーケンサーで作ったフレーズが元になっていて、そのフレーズがこの曲の「モチーフ」にもなっています。
(出だしからかなりの存在感で鳴っている、どの楽器の音でもない、うねうねしているあの音です。)
シーケンサーのフレーズというのは、同じフレーズをリピートして流し続けるものなので、それを使った曲の「リズム」や「展開」にあまり大きな変化が生まれないのが通常です。
そのため、飽きさせずノリを出すことは難しいのですが、そこに崎山さんの腕が光ります。
4分で鳴るバスドラに対し、16分で刻まれるハイハットのグルーブ感が何ともたまりません。
そしてBメロからは、加えて「4拍目にスネアが一発入る」構成になります。
そして、そのままサビを迎えるという比較的簡素なドラムパターンなのですが、簡素ゆえに崎山さんの上手さが際立ちます。
16分のハイハットを刻む中にも、所々アクセントを変えたり、パターンを変えたりして「分かるか、分からないかぐらいの」細かいニュアンスをつけているのが憎いです。
しかし、一番特筆すべきポイントは、一番サビ終わりから始まる「怒涛のタム回し」。
フィルのようにタム回しが入ったかと思えば、実は、このフレーズが曲が終わるまでずっと続きます。
場慣れしたドラマーですら匙を投げたくなるようなカロリーの高いフレーズを、ライブでは涼しい顔で叩きます。
太鼓メインのフレーズを叩くことによって、低音パートの響きが増えて曲の盛り上がりを演出できるという訳です。
しかし、こんなフレーズをずっと叩き続ければ、普通はうるさく感じてしまうものなのですが、この曲においては不思議と「あくまでシーケンスのフレーズが主役として存在し、それを補助する形で驚くぐらい曲に溶け込んでいる」ように聴こえます。
結果、曲の印象づくりに大きく貢献しているのです。
「決して歌の邪魔をせず、それでいて聴き手の潜在意識に深く刻みこまれているような演奏」というのはプロであってもそうそう出来るものではないでしょう。
スピッツというバンドは、そういった点において業界人からも一目置かれている「職人の集まり」なのです。
7位 恋のはじまり
2005年に発売されたスピッツ11枚目のアルバム『スーベニア』から一曲選曲しました。
『スーベニア』は、琉球音楽からレゲェ要素を取り入れた曲まで幅広い音楽性の楽曲で構成されているのですが、全体を通してストリングスが入っていたりと、割とポップス寄りのアルバムです。
ですが、この『恋のはじまり』は、どちらかというとロック調な曲で、ド頭をドラムのフィルインから入ったかと思えば、その後、ゆったりしたテンポ感は保ちつつも比較的手数多めのフレーズが続きます。
そして、この曲最大の特徴は何と言っても、「ベース・田村明浩」のうねるようなベースラインです。
フィルインの直後からベースがずっとうねっていて、歌うようなベースラインがまるで裏メロのような役割を担っています。
草野さんの歌の後ろでもベースがずっと動いているので、独特の浮遊感があり、それはまるで、「はじめて恋に落ちた瞬間のフワフワとした不思議な感覚」を楽曲で表現したような、そんな世界が広がっています。
しかし、それがサビに入ると、ベースは8分のルート弾きに落ち着き、ドラムは「ダンッダンッダンッダンッ」と4分のスネアが鳴る構成に変わることで、突如として、「地に足がついたような力強い」印象に変わります。
草野さんの言葉がよりハッキリと迫ってきた瞬間に
それは恋のはじまり そして闇のおわり
引用元:『恋のはじまり』作詞: 草野正宗
時が止まったりする
と「恋のはじまり」の瞬間を歌うのです。
個人的に、この曲の詞は、数ある草野さんの詞の中でも、「分かりやすさ」と「文学的表現の抽象度」の割合が絶妙だと感じていて、そのテーマの普遍性も相まって、まるで、どこかの「恋の詩集」の一節を読んでいるような気分になれます。
8位 恋のうた
タイトルに「恋」という文字が入った曲が連続でランクインです。
前述の『恋のはじまり』が文字通り「恋がはじまる瞬間の世界の切り取り方」を描いているのに対して、ここで紹介する『恋のうた』は「恋」という概念そのものにスポットを当てた曲になっています。
スピッツの楽曲は、これまで様々なアーティストにカバーされていますが、この『恋のうた』に関しては、ロックバンド・andymoriのボーカルの「小山田壮平」にカバーされていることで有名です。
シンガーとしてカリスマ的人気を誇る小山田壮平さんもまた、自身がスピッツに強く影響を受けたことを公言しており、自身のツイキャス配信でも度々スピッツの弾き語りカバーを披露しています。
この『恋のうた』に関しては、andymoriのライブでカバーされた公式動画がYouTubeにもアップされています。
スピッツファン、andymoriファンの両方から高い評価を受けている素晴らしいカバーなので、まだ見たことがないという人は是非一度見てみてください。
『恋のうた』は、1991年にリリースされたアルバム『名前をつけてやる』に収録された曲で、上記に挙げた曲の中で最も古い曲になります。
結成30周年を超えたスピッツの歴史の中でも、「初期の方」に分類される曲ですが、歴史に埋もれないエピソードとしては、過去にメディアにて、スピッツのターニングポイントとなった曲を尋ねられた際に、メンバーが『恋のうた』を挙げたことがあげられます。
スピッツは結成当時からメンバーの変遷が全くない珍しいバンドなのですが、対して、その音楽性の方は、実はかなり大きく変わって現在のスタイルになっています。
というのも、スピッツは元々「THE BLUE HEARTS」に強く憧れ、影響を受けた「パンクバンド」だったのです。
しかし、なかなか芽が出ず、方向性に悩み始めたときに、周囲からのアドバイスも踏まえて「歌謡曲」を意識して作った曲が『恋のうた』でした。
スピッツには、たびたびパンクからの系譜を思わせるようなフレーズや歌詞が登場するのですが、ひょっとすると、この『恋のうた』が現在と過去のスピッツの橋渡し的な存在の曲なのかもしれません。『恋のうた』が生まれなければ、もしかすると、現在のスピッツは生まれなかったかもしれないと思うと何だか感慨深いですね。
9位 冷たい頬
1998年発売の8thアルバム『フェイクファー』に収録され、急遽シングルカットされることになった楽曲。
春先にリリースされた楽曲ですが、個人的にはこの曲からは「秋の情感」を強く感じます。
秋の木枯らしを思わせるような叙情的なアルペジオにグッと心を掴まれる名曲です。
アルペジオ(分散和音)とは、コード(和音)の構成音を1音ずつ分離して弾く奏法のことで、スピッツのギタリスト・三輪テツヤさんは業界屈指の「アルペジオの名手」と評されています。
曲全体を彩る「煌びやかなアルペジオ」は、スピッツ楽曲の顔ともいうべき特徴の一つであり、彼のギターが織りなす甘くて太く、艶のあるメロディーラインは聴き手の印象にも深く刻みこまれます。
最も有名なものとして『ロビンソン』が挙げられますが、通常、アルペジオのフレーズが万人が口ずさめる程に定着するなんてことは、滅多に考えられません。
一般的に、アルペジオという奏法はどちらかと言えば、「伴奏」のニュアンスとして用いられることが多く、メロディーを聴かせることを目的としていない場合が多いのです。
しかし、彼の場合、奏でたアルペジオが「メロディーの塊、一つのフレーズ」として聞こえてくるのです。
ただコードを弾いているだけでは、決してこのような演奏はできません。
加えて、彼のアルペジオ技術の高さは「音作り」にも表れています。
アルペジオが印象的な曲における「彼の音作り」は、一般に「クリーンギター」と呼ばれる音作りであり、ピッキングのニュアンスが非常にハッキリと反映されます。
平たく言えば、一切ごまかしが利かないということです。
また、アルペジオを「ギター」で弾く場合、右手(ピッキングする側)の動きが、頻繁に弦を飛び越えたりする必要があるため、「綺麗に粒の揃った音」でずっと弾き続けることは、実は、ギター上級者にとってもかなり難しいとされています。
三輪さんは、プロのギタリストの中でも、「ライブでミスをしないギタリスト」として評判が良いのですが、あれだけクリーンな音(ごまかしの利かない状態)で、難易度の高い奏法をライブ中にミスなく綺麗に弾き続けるとなれば、彼は、世間で思われている以上に「とんでもなく高い技術」を持ったギタリストであることが伺えます。
『冷たい頬』に話を戻しましょう。
この曲のイントロでもアルペジオが使われていますが、やはり、不思議とメロディーラインが耳に残る「名イントロ」であることは間違いないでしょう。
その他の名曲ポイントとしては、「歌メロの美しさ」が挙げられます。
4小節のイントロの後に、Aメロに入るのですが、個人的に、Aメロに着目した場合、スピッツ楽曲の中で『冷たい頬』のAメロが最も美しいと感じます。
あなたのことを深く愛せるかしら
引用元:『冷たい頬』作詞: 草野正宗
の一節です。フレーズ自体も抜群に良いのですが、それ以上に乗せるメロディーが特に素晴らしいと感じます。
少し、コード理論に突っ込んだ話をすると、この部分のコード進行が「C → Cmaj7」と進むのですが、そこに「ミミミミレドーシー」(あなたのことーをー)というメロディーが乗っかります。それにより、「Cコード」の上に歌メロとして「シ」の音(メジャー7th)が乗ったときに「Cmaj7」のハーモニーが生まれるのです。
この「7th(セブンス)のエモい響き」が曲の情感をグッと引き立てているのです。
10位 青い車
ドライブでかけたい名曲です。
イントロの疾走感は、低音を少しブーストさせたカーステレオで聴くと尚気持ちいいでしょう。
天気の良い8月の休日ぐらいに、ドライブデートに出かけ、湾岸線の国道を走っているときにちょうどこの曲をかけると、助手席に座る意中の相手が反応を示し、「最高だね」と言い合いながら互いの好きなものについて語り合う
という妄想はスピッツファンなら一度はするでしょう。
ちなみに、この曲もまたファンの間で様々な考察が飛び交う魅惑の楽曲でもあります。
一部では、この曲はスピッツの性と死の「死」を歌った曲であり、「恋人を殺した男が、車を走らせて心中しに行く歌」として考察するファンもいます。
とはいえ、解釈は人それぞれですし、草野さんから種明かしされない限りは、正解なども存在しません。
何はどうあれ、変わらないことはこの曲は最高で、「色あせない名曲」であることに違いありません。
音楽には、色んな楽しみ方があるのですから。
演奏面についても少し触れておくと、この曲もまた、崎山さんのシンバル捌きのニュアンスのつけ方の「良さが際立っている曲」です。
個人的には、2番サビがちょうど折り返す真ん中あたりで「シャンッシャンッ」と2発入るスプラッシュシンバルがツボです。
11位 チェリー
高い国民的知名度を誇る言わずと知れた超有名曲です。
教科書にも載り、よくあるカラオケのランキングでは時代の流れに左右されず、常に上位をマークをしています。
スピッツの中でも、プロ、アマを問わず、「最も多くの人にカバーされた曲」であることは間違いないでしょう。
メロディーの親しみやすさ、リズム、展開など、おそらくポップスが好きな日本人の感性に本能的に合っているのではないでしょうか。草野さんはチェリーが出来た当初は、「地味な売れない曲を作ってしまった」と悲観的になっていたそうですが、ずっと愛されるものというのは、極限まで派手さだったり、余分なものを取り除いた極シンプルなものなのだと改めて思い知らされます。
そういえば、この曲は、ギターやバンドなんかを始める際の「入門用の曲」としても有名です。
しかし、この曲、ド頭からいきなり難しいドラムフレーズで入ったかと思えば、その後もかなりタイトなグルーブ感で曲が進行していきます。
確かに譜面に起こせば、そんなに難しくないようにも見えますが、実は、「原曲のような表情を出そう」と思うとかなり難しいのです。
音楽をかじったことがある人に特にスピッツファンが多いのは、こういった面で初めて、「スピッツの演奏技術の高さ」を思い知ることになるからだと思います。
12位 スパイダー
1994年発売のアルバム『空の飛び方』に収録され、反響があったことから、のちにシングルカットもされた曲です。
元々名曲として人気があった曲ですが、最近「関ジャム」のスピッツ特集で同曲が紹介されたことからさらに注目を集めることとなりました。
そこでは、スピッツ楽曲における「歌詞の凄さを紐解く」というテーマの題材として『スパイダー』が選ばれました。
解説したのは、j-pop作曲家として活躍する杉山勝彦さんで、彼の解釈により紐解かれた曲の世界観が凄いと放送後にネット上でちょっとした話題になったのです。
著者もそこで改めてこの曲の凄さについて再認識したので、是非ここでも紹介させて頂けたらと思います。
『スパイダー』の歌詞といえば
可愛い君が好きなもの ちょっと老いぼれてるピアノ
引用元:『スパイダー』作詞: 草野正宗
寂しい僕は地下室の 隅っこでうずくまるスパイダー
洗いたてのブラウスが 今 筋書き通りに汚されていく
というもの。
これだけだと漠然と「好きな女の子に向けた男の子目線の片思いソング」だということしか分かりませんが、少しずつ解釈を広げていくことで、この曲の奥深さが激変します。
紐解く手順を割愛して、結論を言ってしまうと、
「ちょっと老いぼれてるピアノ」=金持ちの中年男性(おじさん)
「隅っこでうずくまるスパイダー」=内気な僕
「洗いたてのブラウス」=まっさらで清純な君(意中の女の子)
「筋書き通りに汚されていく」=援助交際
をそれぞれ隠喩していて、それを受けて続くサビでは
だから もっと遠くまで君を 奪って逃げる
引用元:『スパイダー』作詞: 草野正宗
と歌っているのだというのです。
確かに筋は通っているし、実際に、当時の社会情勢として、「未成年の援助交際」が社会問題になっていたそうです。
草野さんは、社会情勢を背景に曲を作ることがあることが過去のインタビュー記事からも分かっており、『三日月ロック』がアメリカ9.11テロに影響を受けて作られたアルバムであること、オウム真理教による地下鉄サリン事件も創作の上でかなり大きな影響を与えたのだということも過去に発言しています。
しかし、「彼の作詞の凄いところ」は、一聴してそれらのような「後ろ暗さをほとんど感じさせない」ところにあると思います。
聴き手がいかようにも受け取れる余地があるような表現を用いることで、あらゆる人の生活に馴染む曲が生まれています。
探求心をもったリスナーが解釈に意味を求めれば、新たな世界が広がる奥深さがあります。
「凡庸さ」と「教養」を兼ね備えることで、あらゆる世代の万人の心を掬い取ってしまう「草野マサムネ」こそ、正に「スパイダー」といえます。
ちなみに、演奏面ももちろん素晴らしいです。
草野さんの弾くアコギのストロークのノリに合わせて、歌うように動く田村さんのベースがたまりません。
16分音符で細かいノリを出しながら絶えず動いているにも関わらず、歌メロに対して常に気持ちいい動き方をするベースラインがすごいです。
この曲は、「歌メロ」と「ベースライン」だけで十分に良曲であることが分かってしまいます。
13位 楓
こちらもカラオケなどで非常に人気のある曲です。
スピッツでバラードと言えば、『楓』を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
「松任谷由実」を始め、数多くの著名なアーティストにカバーされている曲です。
この楽曲の特徴としては、何といっても冒頭から楽曲全体を包み込む「物悲しさ」があげられます。
「楓」というタイトルからもイメージできますが、どこか秋めいた「寂寥感」を感じませんか。
その点について、少し音楽理論的な観点から話をすると、一般に、全体を通して「悲しい」雰囲気が漂う曲というのは、マイナーキーの曲であることが多いです。
しかし、この曲はれっきとした「メジャーキー」の曲であり、ここが、ひとつのポイントになっています。
忘れはしないよ 時が流れても
いたずらなやりとりや
引用元:『楓』作詞: 草野正宗
の部分のコード進行が
「Ⅰ→Ⅲm→Ⅵm→Ⅱ→Ⅳ→Ⅴ」(ディグリー表記)となっています。
そこに、縦の響きで見たときに、「各コードの「3rd」の音が主体となって構築されたメロディーライン」が乗ることで、どことなく「マイナー感」の漂う曲になっているのです。
また、「時が流れて’’も’’」の「も」の部分にあたるコードが「Ⅱm」ではなく、「Ⅱ」が用いられており、このとき、コードに対しメロディーは「7th」としてサウンドしています。実は、これも良いアクセントになっています。
また、「いたずらなやりとりや」の部分では「Ⅳ→Ⅴ」と「Aメロの2回し目に向けて上がっていく進行」の、ちょうどコードが移り変わるタイミングで「同じ音程」が歌われているのですが、Ⅳにおける「7th」の音が連続して、Ⅴにおいては「6th」の音としてサウンドしています。
このことも要因の一つとしてあげられるでしょう。
よく分からない人のために簡単に説明すると、つまり、伴奏に対して、ほとんど「明るくならない」ようなラインで歌メロが上下していることによって、「マイナーの曲ほど暗くなく」、かといって、「メジャーの曲にしては明るくない」という、「絶妙なバランスのもの悲しさ」が実現しているのです。
この独特の雰囲気こそが『楓』が名曲として親しまれている所以だと感じます。
14位 群青
2007年発売の『さざなみCD』に収録されたスピッツ通算33枚目のシングル曲。
サウンド面について、スピッツの歴史を少しさかのぼったような、1995年に発売された『ハチミツ』期を思わせるサウンドだと感じます。
タイトルの通り、イントロから疾走感のある爽やかなギターロックナンバーなのですが、この曲は、スピッツ曲の中でも特に「分かりやすく真っすぐで前向きな歌詞」であることが特徴の一つとして挙げられます。
優しかった時の 心取り戻せ 嘘つきと呼ばれていいから
引用元:『群青』作詞: 草野正宗
鳥を追いかけて 裸足で駆け出す 青く染まっていくよ
ちなみに、バックコーラスには、スキマスイッチ・大橋卓弥さん、『トイレの神様』でお馴染みの植村花菜さんが参加していてかなり豪華です。
さらにMVには、ウサギの着ぐるみを着た「アンガールズ」が登場し、海辺をバックに、サビでは草野さんと一緒に可愛いダンスを披露するなど、ファンからは「癒される」と非常に人気が高い作品でもあります。
MVに女優やモデルを起用せず、アンガールズを起用した意図について、草野さんは「アンガールズは前からスピッツっぽいと思っていて、実際会って一緒に撮影した時も全く違和感がなかった」と述べています。
15位 ハチミツ
通算6枚目のアルバム『ハチミツ』に収録されたリードトラックで、1曲目を飾る楽曲です。
『ハチミツ』というアルバム自体が人気のアルバムなのですが、この『ハチミツ』という曲は中でも最高傑作との呼び声が高いです。
アルバムを再生した瞬間に、1曲目でいきなりポップな演奏が弾けて、このアルバムが「どういうアルバムなのか」、リスナーに向けてちゃんと「アルバムの顔」としての役割を果たします。
ちなみに、イントロからサビまでの間「2拍、4拍、4拍」の変拍子で進行していき、聴き手にいつもと違う「不思議な印象」を与えます。
そこに乗るコード進行も実は独特で、Dメジャーキーにおける「Ⅴ→Ⅳ→Ⅰ」の繰り返しで曲が進行していくのです。
初めて聴いたときに、いきなり、キーにおける「ドミナント」から曲がスタートすることに驚きました。
ドミナントから始まり、最後にホーム(トニック)に着地することで、変拍子部分を「1つのフレーズのまとまり」として聴かせることができます。
これにより、聴き手はあまり構えずに「ポップに聞き流す」ことが出来るのです。
さらに、ドミナントから始まることによって、この曲独特の「ヘンテコなフワフワ感」が生まれています。
サビでは、聴きなれた「4拍子」に戻ることによって、浮いてた心がグッと掴まれ「どこか憎めない可愛さ」がある曲だと感じる仕掛けになっているのです。
ちなみに、MVにも「憎めない可愛さ」要素が炸裂していると感じます。
ひと昔前の「ハチミツ」のCMのような作りのMVには、スピッツの幼い遊び心のようなセンスを感じます。
ちなみに、「ハチミツ」というワードには、草野さんの中で明確なイメージがあるようで、「ハチミツは二人が溶け合うイメージ」と以前にインタビューで述べていたことも印象的です。
それは、サビの歌詞にも反映されています。
素敵な恋人 ハチミツ溶かしていく
引用元:『ハチミツ』作詞: 草野正宗
ちなみに、『ハチミツとクローバー』で有名な羽海野チカさんもスピッツの大ファンであることを公言しており、タイトルの「ハチミツ」は、まさしくスピッツの『ハチミツ』から借りたそうです。
16位 スカーレット
『フェイクファー』に収録されている楽曲。
この曲に関して、草野さん自身も「一つの楽曲の到達点」と称していることから、「スピッツ自身と世間の評価のギャップが最も小さい楽曲」ともいえるのではないでしょうか。
曲自体はスピッツにおいては、珍しくないスローバラードですが、物憂げな印象に加えて、他に感じるこの曲特有の「何か」があると思うのは気のせいでしょうか。
その正体について、個人的には「草野さんの歌い方」にあるのではと思います。
草野さんのボーカルと言えば、あまり「感情を表に出すような歌い方をしない」のですが、この曲に関しては、少し「ぐずっている」ようにも聴こえます。
歌い方に「哀しみ成分」が少しプラスされているような感じがするのです。
それでいて、サビ冒頭の「離さない」の部分で、「半拍食って入る」ところがたまりません。
シンコペーションすることで、「離したくない」という感情の切実さが上手く表現されていると思います。
ちなみに、「スカーレット」とは、ある赤系の「色」の呼び名らしいです。
「色」を表現の一部として用いた曲は世の中にたくさんありますが、「色」のイメージそのものを曲にした楽曲というものは、案外少ないのではないでしょうか。
そういう点において、『スカーレット』は、草野さんの物の見方、感じ方、イメージの世界、精神的な部分がより色濃く反映された楽曲なのではと感じます。
17位 8823
スピッツの「転換期の象徴」となった超がつくほどの名曲です。
この曲を知らずして、「スピッツファン」は名乗れません。
タイトルの『8823』は、数字の語呂合わせで「ハヤブサ」と読みます。
名盤『ハヤブサ』の収録曲であり、このアルバムの特徴としては、全編を通して「ロック色が非常に強い」ことが挙げられます。
前作『フェイクファー』までの柔らかでポップな印象とは打って変わって、このアルバムからは、タイトでむき出しの攻撃的なロックサウンドに変わります。
「鬱屈したものを一気に解き放つような衝動」を表現した楽曲たちは、まさしく「ロックの初期衝動そのもの」であり、『8823』はこれ以上ない程にその様が体現された作品になっています。
「スピッツ」という「ロックバンド」が活動を続ける中で対峙した「商業的音楽」の壁の中で、一度は「死」を迎え、そして「再生」を果たしたのです。
Aメロでは、極限までタイトに抑え込まれた展開が、サビで「一気に解き放たれる爽快感」はライブで聴くと思わず暴れ出したくなるほどに私たちを遥か上空の世界へと連れて行ってくれます。
この曲を語る上でもはや言葉は必要ありません。
リズム隊の技術の高さについても、聴けば明らかです。
「don’t think feel!!」
言葉で語るより、一度聴けば全てが伝わるはずです。
18位 みなと
2016年発売のアルバム『醒めない』にも収録された楽曲。
割と最近の印象のスピッツです。
2016年で最近というのもありますが、この『醒めない』を経て、バンドサウンドに「成熟した大人としての深い落ち着き」というか、これまであった雑味が削ぎ落され、「より洗練され貫禄のある音」に進化した印象があります。
一聴して派手ではないのですが、とても「落ち着く曲」です。
「聴けば聴くほどに良い曲だな」と実感するような謂わば「スルメ曲」とも言えます。
心にじんわりと染み込んでくるような温かさがあるのです。
間奏に流れるスカート・澤部さんの口笛もストレートでとても良いと感じます。
旅に出た船が途中で足を休めるのが「港」であるように、この曲もまた、日常の中で疲れたときに思い出してフッと肩の力を抜きたくなるような、そんな魅力があふれた名曲だと思います。
この曲だけは、なぜか自分自身を歌の主人公と重ねて感情移入するというよりは、「みなとで一人帰りを待つ男」の歌として聞き入ってしまいます。
「みなと」に優しく響く彼の歌を思い出し、また懐かしい彼に会いたくなる、そんな曲です。
19位 流れ星
1999年発売のアルバム『花鳥風月』の一曲目に収録された楽曲。
この曲は元々、スピッツのアマチュア時代からライブで披露していた曲であり、後に、「辺見えみり」に提供されました。
その後、音源化するタイミングになかなか恵まれず、ようやくレコーディングにこぎつけたものの、サウンド面に納得がいかず、エンジニアを変えるなど、「音源」としてリリースするまでにかなり難航した楽曲でもあります。
上記のような経緯があり、スピッツ楽曲の中で音源化されるまでに現状最も長い月日がかかった楽曲となります。
それゆえなのか、曲の中に「時が立つ中で熟成されたような深み」を感じます。
イントロのギターフレーズは「E-Bow」という特殊な道具を用いて演奏されています。
これにより、ピッキングのアタックがなく、サステインが減衰しない音となるため、滑らかにフレーズが繋がり、さながら夜空を滑る流れ星のような情感を味わえます。
ちなみに、このスピッツ版の『流れ星』は曲中に「2回転調」していて、一度目は、一番が終わり間奏が入った後、二番の歌に入るタイミングで「短3度上」のキーに転調しています。
この「短3度転調」は曲の雰囲気を適度に変えることが出来るため、近年のJ-popでは常套手段として数多くの曲で見られる手法ですが、ほとんどの場合、「サビに行くタイミングで転調する」パターンとして多く見られます。
しかし、この曲では、「二番に入るタイミング」で前触れなく転調するため、よりドラマチックさが際立ち、楽曲後半の持つエネルギーが特に凄いように感じます。
そこから続く歌詞がまた素晴らしく、ただ「奇をてらう」ためだけに転調したのではないことがわかるほどに沁みる歌詞です。
是非、一度歌詞に着目してみて下さい。ちなみに、「2回目の転調」はラスサビに向かって「半音上げ」転調をします。
ドラマチックな展開がこの「歌詞の世界観」をさらに盛り立てていると言えるでしょう。
20位 ガーベラ
『三日月ロック』の収録曲です。
前作『ハヤブサ』から取り入れられたエッセンスとして、「打ち込みサウンド」がこの楽曲にも取り入れられています。
冒頭からローファイ気味に鳴り響く「打ち込みサウンド」が「生ドラム」のそれとはまた違った印象を与えてくれます。
一番では、打ち込み、ギターのアルペジオ、そして草野さんのボーカルでワンコーラスを締めくくり、二番から生ドラムとベースが入ってきます。
同じく「打ち込み」から生演奏が入ってくるという点においては、ライブ版の『運命の人』でもあげられますが、印象としては完全に真逆です。
なぜなら、個人的に、この曲の音像からは最も直接的に「死」を感じるからです。
緩やかな「希死念慮」が楽曲全体に蔓延し、聴き終わる頃には呼吸の仕方を忘れたように胸が苦しくなっています。
この曲の裏知識としては、プロデューサー・亀田誠治とスピッツが初めてセッションをした曲であることが挙げられます。
「2つの大きな才能」が邂逅するきっかけとなった曲なのです。
21位 猫になりたい
『青い車』のカップリングであり、『花鳥風月』に収録された楽曲です。
スピッツにおいて「猫」という生き物は特別なのかもしれません。
アルバム『名前をつけてやる』は、赤地のバックにアップで写る「猫の顔」が印象的なジャケットですし、『ロビンソン』の2番の歌詞でも「猫」が登場します。
最近では、「猫ちぐら」が公開されて話題となりました。
何かとスピッツの隣には、いつも「猫」が居る印象です。ちなみに、スピッツを神様と慕う程に「自身に影響を与えた」と公言している「あいみょん」の曲にも『猫』という楽曲があり、その他の曲でも度々「猫」が登場します。
もしかしたら、それもスピッツの影響なのかもしれません。
そんな、スピッツの「猫ソング」の中でも最も支持されていると言ってもいい「猫ソング」が、この『猫になりたい』です。
この曲の歌詞においては具体的な描写はあまりないものの、イントロのギターフレーズも相まって、何だか優しく毛布にくるまれたような温かさを感じる曲です。
個人的には、サビの「(消えないように)優しく傷つけてあげるよ」というフレーズがお気に入りです。
22位 スピカ
『楓』との両A面シングルの楽曲です。けたたましいギターのフィードバックから始まり、重たいロックサウンドから次いで繰り出される歌詞が
この坂道もそろそろピークで
引用元:『スピカ』作詞: 草野正宗
馬鹿らしい嘘も消え去りそうです
やがて来る 大好きな季節を思い描いてたら
と続くのですから、現代風に言えば、この時点で「いいね」ボタンがあれば押してしまうような引力があります。
「辛いことがようやく終わり、幸せが待っている」ことを感じさせる歌詞は、どの現代人の心にも届くはずです。
幸せは途切れながらも続くのです
引用元:『スピカ』作詞: 草野正宗
サビの締めのフレーズです。
この曲特有の、歌詞の最後に「です」がつくことによって、日本語特有の「奥ゆかしさ」が表現されていて、とても好きだと感じるポイントです。
これこそまさしく日本語ロックの醍醐味ではないでしょうか。
あと、個人的にたまらないと感じる点は、同じく「日本語ロックの嬢王・椎名林檎」がこの曲をカバーしていることです。
同じく「日本語の持つ秘めた魅力を操って人々を魅了する」両者が、この『スピカ』を通して互いの波長を確かめ合ったというのがとても良いなと感じました。
23位 春の歌
『スーベニア』に収録された楽曲です。
「春」を題材にした楽曲は世の中にたくさんありますが、スピッツが思う「春」はやはり他とは一味違います。
「春」と言えば、一年を通した中で、最も新しい「出会い」や「別れ」が生まれる季節ですから、具体的な表現、言葉を用いた、共感しやすい「応援歌」だったり、別れをテーマにした「惜別の歌」などが圧倒的に多いです。
そんな中、この曲は冬を超え、「春」に息吹く小さな命の「力強さ」を歌ったように感じます。逆風にも負けず強く前を見据えるような力強いサビに何度心を救われたかわかりません。同じ気持ちを持った人が世界にはたくさんいることでしょう。この曲の持つ「力強さ」に感化された羽海野チカさんが作った作品が『三月のライオン』だそうです。
24位 アパート
1992年発売のアルバム『惑星のかけら』の収録曲です。おそらく、この曲をスピッツの「名曲ランキング」に選出する人はあまり居ないと思います。
スピッツの曲を良く知っている人からすれば、「文句なしの名曲」なのですが、紹介した中で「知名度はおそらく一番ない曲」だと思われます。
「隠れた名曲」の方で紹介しようかとも思ったのですが、しかし、やはり30曲の中においても遜色ないと感じたのと、もっとスポットライトを浴びてほしいという願いを込めて、ここで紹介することにしました。
君のアパートは今はもうない だけど僕は夢から覚めちゃいない
引用元:『アパート』作詞: 草野正宗
という歌詞から始まるこの曲。
スピッツの曲の中でも群を抜いて「青春感」のある曲だと思います。
ただし、ここでいう「青春感」というのは、「甘酸っぱさ」とか「疾走感」とかそういう類のものではなくて圧倒的な「青臭さ」。
92年ということもあり、草野さんの歌声も若いのですが、それ以上に、全編を通して「気だるげ」に歌っている感じが、「青さ故のやりようのない痛み」を上手く表現していると思うのです。
また、暗めのトーンの歌声に相反するように、サビで入るドラムの「トライアングルの音」が涼しげでとても良いと感じます。
25位 ヘビーメロウ
『CYCLE HIT 2006→2017 』に収録された楽曲です。
「めざましテレビ」のテーマソングとして起用されていたことから、印象としては記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。
聴いたことがない人は、タイトルから「重厚なロックサウンド」をイメージするかもしれません。
実際に、MVを撮った監督が打ち合わせの際に曲のタイトルを「ヘビーメタル」と空耳したという逸話があります。
しかし、実際は聴いてみると、イントロからキャッチーなギターカッティングが入り、跳ねたようなリズムが気持ちの良いポップな曲に仕上がっています。
まさに「朝という一日の始まり」に聴くのにピッタリな曲だと思います。
この曲を聴いて体を起こしつつ、会社や学校に向かっていた人も多いのではないでしょうか。
人々の日常生活に深く関わっていたという点において、これだけで「名曲」と呼べる素養はあるのですが、著者がこの曲が輪をかけて特別だと感じる点は他にあります。
それは、スピッツにとっては珍しい「朝の顔」となる曲であるという点です。
スピッツといえば、どちらかと言えば、卑屈で後ろ向きなイメージであり、「朝」と「夜」で言えば圧倒的に「夜」のイメージがあります。
健康的で前向きなイメージの「朝」の曲は非常に珍しいのです。
しかし、よくよく歌詞を見るとちゃんと「偏屈なスピッツらしさ」があるのがまた憎めません。
ポップな皮を被りながら実は、「超ロック」というスピッツの偏屈ぶりがよく表れている一曲だと思います。
26位 夏の魔物
1991年発売のメジャー1stアルバム『スピッツ』に収録された楽曲です。
まさしく「初期スピッツ」の名曲です。
24位で紹介した『アパート』以上に古い楽曲となりますが、「聴きにくさ」は全くありません。
サビのメロディをなぞったようなイントロのキャッチーなギターフレーズが非常に印象的です。
アップテンポな8ビートに加えて、オーソドックスな展開、スケールをなぞったようなギターソロ。
いわゆる「邦楽ギターロックサウンド」の礎を築いたのはこの曲なのではないかと思うほど、今聴いてもまるで古くさく感じない一曲です。
この曲は度々ライブでも披露されることがある楽曲で、その際は、さらに鍵盤の音が入ったりと、より「現代風なアレンジ」が加わって演奏されています。
また、この曲の裏情報としては、ミスチルの桜井さんがBank Bandでカバーしたことでもとても有名です。
27位 メモリーズ・カスタム
『ハヤブサ』に収録された楽曲です。
この曲には少々特殊な経歴があります。
この曲には元となる『メモリーズ』という『色色衣』に収録されていた曲がありました。
その『メモリーズ』がリアレンジされて再度『ハヤブサ』に収録されたのが『メモリーズ・カスタム』になります。
『メモリーズ』から『メモリーズ・カスタム』になるにあたって、まず、大きなところではこれまで無かった要素として、「大サビが追加」されたこと、そしてイントロのギターフレーズが削られた代わりに、ノイズが多分に使用されており、何よりドラムの手数が各段に増えています。
よりロックなアレンジに加えて、打ち込みも入ったことにより、『ハヤブサ』を彩る一曲として新たに生まれ変わりました。
これにより『メモリーズ・カスタム』の方は、ライブでは定番の「ぶち上げソング」となっています。
ライブではベースを弾きながら暴れまくる田村さんと、超絶手数のドラム捌きを披露する崎山さんが無茶苦茶カッコいいです。
28位 ヒバリのこころ
メジャー1stアルバム『スピッツ』に収録され、同アルバムの最後を締めくくる楽曲。
そして何を隠そう、この曲こそが、スピッツの「デビューシングル」です。
国民的に深く愛され、今や知らぬ者がいない程に世間に名を轟かせたモンスターバンドの「全ての歴史の始まりとなった楽曲」です。
その事実があるだけで、「名曲」としてランキングに加えないわけにはいきません。
スピッツのバンドの歴史を鑑みた上での「エモさ」に加えて、楽曲単体が持つエネルギーとしての「エモさ」があります。
スピッツは、現在のポップ・ロックを主軸に据えた音楽スタイルになる以前は、ブルーハーツに憧れた「パンクバンド」でした。
この楽曲にはまだ当時の面影があり、「青春パンク」っぽい若いエネルギーが全面にあふれた出した楽曲となっています。
歴史、楽曲のエネルギー、どちらの観点から見ても、楽曲が秘めた「エモーショナル」という点においては、スピッツ楽曲の中でも随一の曲だと感じています。
29位 ホタル
またしても『ハヤブサ』からランクインです。
シングルカットされている楽曲ですが、世間的な知名度はあまりない曲かもしれません。
しかし、ファンの間で「スピッツの好きな曲」について語れば必ず名前が挙がるほどの「名曲」です。
『ハヤブサ』を全編通して聴いても、この曲の印象がなぜか強く残ります。
名曲たる所以に「理屈なんていらない」。
そう思わせてくれるほどに、言葉が真っすぐ刺さる楽曲です。
母国語としてこの曲が聴けることに感謝したくなるような素晴らしい楽曲です。
MVでは、炭鉱の地中深くで歌っている中、照らすヘッドライトの光がまるで「ホタル」のように泳いでいるところにグッときます。
30位 フェイクファー
名盤『フェイクファー』のラストを飾る曲であり、アルバムの名を冠した名曲です。
クランチギターのアルペジオから始まり、歌が入ってから13小節目で重く歪んだギターとドラムが入ってきて、そのさらに4小節を経てからベースが入るという構成になっています。
アルバム最後のトラックということもあり、曲が進むにつれ「どんどん終わりに向かっていく感」が増していきます。
それが最高潮に達したサビでは、「曲」として、そして「アルバムの締めくくり」として、それに相応しい「大団円のような盛り上がり」をみせるのですが、その最後を
そんな気がした
引用元:『フェイクファー』作詞: 草野正宗
というフレーズで締めます。今までのことも全て「そんな気がした」だけだったのです。
スピッツでしか味わえない「この感じ」は一体言葉でどう表現したらよいのか未だに分かりません。
是非、皆さんには、「アルバムの最初から通しで聴いて」この曲を味わってほしいと思います。
スピッツの隠れた名曲10選
1位 プール
「隠れた名曲」第一位は、『名前をつけてやる』に収録された楽曲『プール』です。この曲を語る上で、まず絶対に欠かせないのが「圧倒的な「詩」の世界観」だと思います。
まずは、歌詞をご覧ください。
君に会えた 夏蜘蛛になった
引用元:『プール』作詞: 草野正宗
ねっころがってくるくるにからまってふざけた
風のように 少しだけ揺れながら
音がなくても、「詩」として十分に美しいです。
冒頭にあり、ひと際存在感を放っている「夏蜘蛛」というワードですが、これは実は草野さんによる「造語」なのです。
表現の上での「造語」といえば、井上陽水さんの『少年時代』の歌い出し、「夏が過ぎ 風あざみ」の「風あざみ」が造語であることが有名です。
これは、草野さんにも井上陽水さんにも当てはまることなのですが、「夏蜘蛛」や「風あざみ」といった表現が「独自の造語」であるにも関わらず、何故か聴き手にそのワードの概念を連想させます。
両者とも、優れた作詞家として有名ですが、彼らのように、「詞の世界観で人々を魅了出来る人」というのは、詞世界に落とされたワードが例え「造語」であっても、そのイメージを不思議と聴き手と共有することが出来る、あるいは、そうさせるようなセンスを持った人なのだと痛感します。
ちなみに、この「夏蜘蛛」は「性」の象徴であるともされています。
「夏蜘蛛」というのは、まさに男女それぞれの手足が重なった影を表しているのではないかと個人的には思っています。
ここまでは、「歌詞」について掘り下げました。
しかし、この『プール』には「曲」として、加えて「伴奏」がつくわけです。
そして、この曲を「隠れた名曲」たらしめている所以として、「三輪テツヤ」の圧倒的完成度の「音作り」があると思っています。
「緩やかに流れる時の中で漂うプール」のイメージを「深くかけたコーラスギターの揺れる音」で表現したのは妙案でした。
一度聴けば、もうこれ以上の音は考えられません。
シューゲイザー好きには特に堪らないでしょう。
特に、メインのギターソロの後に迎える、ギターとコーラスだけになるセクションでの「音作り」は圧巻で、言葉を失うほど幻想的です。
「まるで世界の音が遠くなったような、深く水中に沈み、ゆらゆらと漂っているような錯覚」に陥ります。
この曲を「生のライブで聴くまでは絶対に死ねない」と強く思えるような一曲です。
2位 桃
名盤『さざなみCD』の二曲目に収録された楽曲です。
じつは、スピッツの「隠れ名曲」として『桃』の名を挙げる人も多いのです。
『桃』の素晴らしい点について、個人的にはやはり、これもまた「三輪テツヤ」の音作り、ひいてはギターフレーズにあると思っています。
突然ですが、皆さんは「桃」と聞いてどんな「音」を思い浮かべるでしょうか。
「桃」で曲を作ってくれと渡されても、おそらく多くの人は頭を抱えることになるでしょう。
答えは、「三輪テツヤ」が示してくれます。
お聴きいただけたら分かるかもしれませんが、おそらく、これは一つの「正解」だと思いませんか。
ギターひとつで見事に「桃」の瑞々しさを表現しています。あっぱれというほかありません。
ギターの音で「プール」や「桃」のイメージを表現する感性の柔軟さはやはり「スピッツ」というべきでしょうか。
音作りに関しては、若干歪みがかかったクリーントーンにうっすらディレイをかけたような印象です。
また、同じく「桃」の瑞々しさを表現している要素としては、サポートメンバーとしてレコーディングに参加している「クジヒロコさん」の鍵盤の音も印象的です。
3位 ラズベリー
『空の飛び方』に収録された楽曲です。
この曲が「隠れた名曲」たる所以は、圧倒的に「歌詞の世界観」にあると思っています。
スピッツの掲げるテーマの内、「性」についてを歌った曲です。
「草野マサムネ」の書く詞には、「性」に関する描写においてたまに変態性や狂気性が垣間見えることがあるのですが、この『ラズベリー』もそれにあたり、個人的には、スピッツにおける「3大エロ曲」のうちの一曲だと感じています。
ちなみに、残りの二曲は、『海とピンク』と『ナイフ』です。
ただ、草野さんの凄いところは、ただの変態では終わらないところ。
予備知識なく一見しただけでは、全く下心を感じさせないのです。
泥まみれ汗まみれのスカートが
引用元:『ラズベリー』作詞: 草野正宗
未開の地平まで僕を戻す
あきらめてた歓びがもう目の前 急いでよ
駆け出したピンクは魔女の印
水のように回り続けて 光に導かれていくよ
しかし、よくよく吟味してみると、そう「あの瞬間」のことを歌っているのだとわかります。
おそらく男の子ならみんな抱いたことのある「あの瞬間」です。
言葉にならない精神世界の感覚を、直接的な言葉を一切使うことなく、表現する「草野マサムネ」はやはり天才だと痛感します。
ちなみに、二番の歌詞はもう少し具体的な表現になるのですが、所々の言い回しが実に言い得て妙で、目にすればおそらく自身の中で革命が起きることでしょう。
サビもとてもキャッチーで非常に聞きやすいので、気になった人には是非とも聞いて欲しいと感じる一曲です。
4位 僕のギター
『さざなみCD』の一曲目です。
この曲は何と言っても、サビでの「思いがけない転調」が素晴らしいです。
コード理論的には、元のキーにおけるドミナント「Ⅴ」から、偽終止する形で一つ上のコードに上がり、そのままそのキーに転調するという「短3度下」への転調が行われています。
前触れをほとんど感じさせることなく、一気に空気が変わることにより、「サビのメッセージ性」がグンと際立ちます。『僕のギター』というタイトルの曲名の通り、かき鳴らすような力強さと歌詞のひたむきさも相まって、より深く心を揺さぶられる曲です。
5位 仲良し
『フェイクファー』収録の楽曲です。
何となくサイモン&ガーファンクルやビートルズを思わせるような美メロが優しいフォークソングです。「仲良し」と聞いて、皆さんはどんな曲をイメージするでしょうか。
仲の良い友達や恋人との日々でしょうか。
いずれにせよ、「楽しそうな、前向きな」印象のあるタイトルですよね。
いつも仲良しでいいよねって言われて
引用元:『仲良し』作詞: 草野正宗
でもどこかブルーになっていた
あれは恋だった
この歌い出しからこの曲は始まるのですが、この冒頭のワンフレーズだけで、「この曲が一体どういう曲」なのかが分かってしまいます。
謂わば、「キラーフレーズ」ではないでしょうか。
こういう一節聴いただけで、立ち止まって頭を抱えたくなるようなフレーズがスピッツには数多く存在するのです。
ちなみに、この曲を巡る裏話としては、sumikaのボーカルの片岡さんが「スピッツの曲の中で『仲良し』が一番好き」だと語っていたことを知っていたスピッツのメンバーの粋な計らいにより、sumikaとスピッツが共演したライブのアンコールにおいて、サプライズで『仲良し』を演奏したという逸話があります。
しかも、『仲良し』をライブで演奏したのはほとんど20年ぶりらしく、またライブ後もそのことについては一切言及しなかったそうです。そういう粋な人柄の部分も含めて、スピッツは掴んだ人の心を離さないのだと思います。
6位 恋する凡人
『とげまる』に収録された楽曲です。
アップテンポなギターロックチューンでありながら、メロディー含め、とにかく耳馴染みが良く、「一度聴いただけで好きになってしまう曲」です。
この曲の特徴としては、スタジオテイクの音源よりも、「ライブテイクの方が先行で音源化された」という経歴をもつ他に類を見ない曲です。
そのため、曲を発表する際もライブが初出しで、それもあってか、ライブでの盛り上がりが特に凄まじいと感じる一曲です。
『恋する凡人』という曲のタイトルからしてかなり秀逸ですが、歌詞もまた相変わらず秀逸で、それにちなんだ「この曲の面白い点」としては、『とげまる』の歌詞カードに、この曲を最後まで聴いた人にしか分からない「この歌詞にちなんだ独特のギミック」が施されています。
気になった方は是非、アルバムを手にしてみて下さい。
7位 月に帰る
1stメジャーアルバム『スピッツ』に収録された楽曲。
この曲の特徴と言えば、やはりギターの「三輪テツヤ」さんが作曲した曲であるという点です。
30年を超える歴史において、スピッツ楽曲の作詞・作曲の殆どをボーカル・草野マサムネさんが行っている中で、この曲は数少ない「彼以外」が作った曲なのです。
実は、「三輪テツヤ」さんは他にも、『鈴虫を買う』や『宇宙虫』、『花泥棒』などの作曲もしています。
今回、その中でも、この『月に帰る』を選んだ理由としては、この曲は特に「初期の曲」ということもあり、「ロック・ギタリスト三輪テツヤ」が存分に垣間見えるからです。
曲後半の「三輪テツヤ」のために用意されたといってもいい、ギターの独白のような時間は、普段スピッツの曲の中ではあまりエゴを出さない「三輪テツヤ」の、「ロックギタリスト」としての一面がうかがえるファンにとっても貴重な一曲となっています。
ノイジーで深いフィードバックがかかったようなギターソロは、彼らが好んで聴いていたシューゲイザーの影響が多分に盛り込まれています。
ロックなスピッツを聴きたいなら、是非とも知っていただきたい名曲です。
8位 インディゴ地平線
1996年発売、通算7枚目のアルバム『インディゴ地平線』に収録され、リードトラックとなった曲です。「雄大で広大な地平」を思わせるような、ゆったりと大きく構えたロックサウンドが特徴の一曲です。
君と地平線まで 遠い記憶の場所へ
引用元:『インディゴ地平線』作詞: 草野正宗
イントロの広大な大地を思わせるスケールの大きいサウンドから、上記の歌い出しで曲が始まったときは、心底鳥肌が立ったことを覚えています。
『インディゴ地平線』というアルバムについてですが、この作品は、数あるスピッツ作品の中でも、特に「音楽玄人」の間で非常に「名盤」との呼び声が高い作品であるように思います。
これまでずっとスピッツの楽曲プロデュースを続けてきた笹路正徳さんが「最後に手掛けたアルバム」ということもあり、特にサウンド面において評価の高い作品です。
たしかに、本アルバム全体に漂うロックサウンドのスケール感は他のどの作品よりも華があるように感じます。
筆者もこのアルバムのサウンドが特に好きで、間違いなくスピッツのアルバムで一番聴いているアルバムです。
ちなみに、有名な話ですが、「ゲスの極み乙女。」で有名な「川谷絵音」のもう一つのバンド「indigo la end 」という名前は、この『インディゴ地平線』からとったと公言されています。
どの曲も本当に最高の一枚なのですが、中から「一曲だけ」選ぶとしたら、やはりまずはこの曲だろうということで推薦しました。
9位 君と暮らせたら
アルバム『ハチミツ』を締めくくる最後の楽曲として収録された楽曲です。軽快なアコギストロークが涼しげな印象のイントロから曲が始まります。
この曲は『ハチミツ』というアルバムの雰囲気に凄くマッチした終始「可愛げのある」曲なのですが、個人的な感想として、スピッツ楽曲の中で断トツの「胸キュン」ソングだと感じています。
可愛い年月を君と暮らせたら
引用元:『君と暮らせたら』作詞: 草野正宗
というサビのフレーズが凄くフックになっていると感じます。
歌詞も抜群に良いのですが、この曲の「どこか間の抜けたようなメロディー」がもの凄くツボを押さえていて、「胸キュンな曲」に仕上がっているのだと感じます。
10位 魚
2004年発売のアルバム『色色衣』に収録された楽曲です。
この曲こそまさしく「本当に隠れた名曲」だと思います。
数あるスピッツ楽曲の中でも「人気がある曲」というのは、シングル曲以外であっても、例えば「何かのタイアップになっていたり」と、どこかしらで必ず何らかのスポットを浴びてるものです。
実は、この曲に関しては、特にそういったような「目立った要素」はありません。
にも関わらず『魚』は、ファンの間でちらほら名前が上がり、人気投票でも上位に食い込むなど、「曲の地力」で人気を勝ち取った、まさしく真の意味での「隠れた名曲」なのです。
聴いた人には伝わると思うのですが、「歌詞の世界観、メロディーの良さ、曲全体を包み込む情感」が完全に「名曲のそれ」だと言えます。
一度聴いただけでも根強い人気があることが頷けるかと思います。
個人的にも、スピッツの中でもかなり上位に入るぐらい好きな曲です。
序盤から曲の雰囲気を華やかに彩っているクジヒロコさんの鍵盤の音色が印象的な楽曲です。
これだけは持っておきたいスピッツの名盤5選
1. フェイクファー
まず、最初にオススメするのが、1998年発売のスピッツ通算八枚目のアルバム『フェイクファー』です。
「スピッツが目指す音楽の方向性」と「世間が求めるスピッツの音楽像」が最も近かった頃の作品と言えます。
収録曲は以下の通りです。
M1. エトランゼ
M2. センチメンタル
M3. 冷たい頬
M4. 運命の人(Album Version)
M5. 仲良し
M6. 楓
M7. スーパーノヴァ
M8. ただ春を待つ
M9. 謝謝!
M10. ウィリー
M11. スカーレット
M12. フェイクファー
「M3.冷たい頬」~「M6.楓」までの流れが非常に聴きやすく、何度でも繰り返し聴けるようなゴールデンラインとなっています。
また、M4の『運命の人』は、『フェイクファー』収録にあたり、新たにキーを「半音下げた」バージョンを録り直しているのも特筆すべきポイントです。
これは、シングル発売された『運命の人』のサウンドに納得がいってなかったメンバーの発案によるものです。
そのため、こちらの「アルバムバージョン」の方が好きだと言うファンも多く、個人的には、「よりバンドサウンド感が増したな」という印象です。
アルバムを通した全体の印象としては、毛布にくるまったような温かみのある印象、もしくは、音が全体的に奥まったような印象をうけるかと思います。
これには、裏付けがあって、「前作『Crispy!』まで制作に携わっていたプロデューサー・笹路正徳さん」の元を、本作『フェイクファー』から離れたこともあり、制作過程におけるサウンド面においてはかなり難航したそうです。
後に当時を振り返ったメンバーのインタビューを見ても、「当時を思い出すから、未だにアルバムが聴けない」と語っているほど特殊な思い入れのある作品となったようです。
とはいえ、このアルバムは全体を通して、「アルバム曲」と「有名曲」のバランスが非常に良く、「有名な曲を数曲しか知らない」というような「ほとんど初めてスピッツを聴く人」であっても、比較的「聴きやすいアルバム」になっていると思います。
あと、このアルバムの優れた点を挙げるとすれば、「ジャケットの良さ」でしょうか。
ジャケットの女性は「田島絵里香さん」という女優さんで、「光でぼやけたような写像」がこのアルバムの「儚さ」の雰囲気をよく表現していると思います。
ファンやメンバーからの評価もとても高いジャケット写真です。
2. 三日月ロック
M1. 夜を駆ける
M2. 水色の街
M3. さわって・変わって
M4. ミカンズのテーマ
M5. ババロア
M6. ローテク・ロマンティカ
M7. ハネモノ
M8. 海を見に行こう
M9. エスカルゴ
M10. 遥か(album mix)
M11. ガーベラ
M12. 旅の途中
M13. けもの道
次にオススメするのが、2002年発売の通算10枚目のアルバム『三日月ロック』です。
このアルバムは特に「注目度」が高く、ファンの間でも名盤の話題になれば、必ず名前があがります。
作風は、前作『ハヤブサ』に引き続き、全体を通して「非常にロック色の強い」アルバムとなっています。
「ロックバンド・スピッツ」を知りたければ、とりあえず最初にこのアルバムを聴けば間違いないでしょう。
ラインナップは以上の通りで、「ミリオンヒットした楽曲」は収録されていないのですが、「アルバム全体の完成度は過去の作品の中でも、群を抜いている」といっても良いといえます。
『ハヤブサ』からの系譜として、ダンスビートのような「打ち込みサウンド」が起用された「M5.ババロア」。
ロックナンバーに囲まれる中、小休憩的な役割を担うアコースティックなサウンドが落ち着く「M8.海を見に行こう」。
アルバムを締めくくる「名曲」としても名高い「M12. けもの道」など。
他にも、ライブなどでもとても盛り上がり、ファン人気も高い「隠れ名曲」が非常に多いアルバムです。
ちなみに、このアルバムは、日本を代表する「名プロデューサー・亀田誠治」と「スピッツ」が初めてタッグを組んだ歴史的一枚です。
個人的にスピッツのアルバムの中で一番好きなジャケットです。
インテリアとしても映えるので、是非、手に入れた際には部屋にも飾ってみて下さい。
3. ハチミツ
M1. ハチミツ
M2. 涙がキラリ☆
M3. 歩き出せ、クローバー
M4. ルナルナ
M5. 愛のことば
M6. トンガリ’95
M7. あじさい通り
M8. ロビンソン
M9. Y
M10. グラスホッパー
M11. 君と暮らせたら
三枚目は、1995年発売のスピッツ通算6枚目のアルバム『ハチミツ』です。
このアルバムの特徴としては、全編を通して「とにかく明るく、キャッチー」だということです。
さらに加えれば、全体を通して「無邪気なんだけど、少しひねくれた」ような「憎めない可愛さ」を感じます。有名曲としても、「M2.涙がキラリ☆」、「M8. ロビンソン」と申し分ありません。
もし、「意中の女の子におすすめのスピッツのアルバムを聞かれたとき」には、是非とも貸してあげたい一枚です。
「ポップで愛らしい多幸感」に満ちた本作は、相手がどんな音楽が好きであろうと「j-popを聴いて育ってきた人」であるならば、絶対にハズさない作品であると思います。
よって、「スピッツ入門用のアルバム」としても強くおススメの一枚です。
「緑、赤」と色使いが鮮やかな「可愛いジャケット」も魅力的ですね。
4. さざなみCD
M1. 僕のギター
M2. 桃
M3. 群青
M4. Na・de・Na・de ボーイ
M5. ルキンフォー
M6. 不思議
M7. 点と点
M8. P
M9. 魔法のコトバ
M10. トビウオ
M11. ネズミの進化
M12. 漣
M13. 砂漠の花
4枚目として紹介するのは、『さざなみCD』です。
こちらは、2007年に通算12枚目の作品としてリリースされ、ファンの人気投票でも「上位3位」に入る程の人気のアルバムです。
作品の雰囲気としては、「ネオアコ的な涼しげなサウンド」が特徴として挙げられます。
この作品は、何といっても、楽曲全体にさらなる彩りを加えている「クジヒロコさん」のピアノのサウンドが印象的です。
クジヒロコさんとは、鍵盤のサポートメンバーとして長らくスピッツの楽曲を支えている方で、特に「中期スピッツ」のサウンドを語る上では絶対に欠かせない存在です。
『M1. 僕のギター』から始まり、『M2. 桃』を経て 『M3. 群青』へバトンを繋いでいくこの完璧な流れこそ、このアルバムが高い人気を獲得している所以なのではないでしょうか。
それほどまでに、「序盤の3曲」は特にキャッチーだと感じます。
「M6. 不思議」は「恋」について歌った曲なのですが、「歌詞の世界観が非常に面白い」ので、是非とも歌詞に注目しながら聴いて欲しい一曲です。さらにライブでもテッパンで盛り上がる曲として人気の曲でもあります。
「M9. 魔法のコトバ」はスピッツの「ラブバラード」として思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ファン内外を問わず超人気の楽曲で、世間的にも割と有名な曲ですよね。
「M13. 砂漠の花」これもまたイントロからクージーさんの鍵盤の音色が印象的な楽曲です。まさしく砂漠に咲く花のように心に強く残る、アルバムを締めくくるに相応しい一曲です。
また、このアルバムは「スピッツ×亀田誠治」期の集大成の作品でもあります。
そのため、全体的に「ロック」と「ポップス」の調和のバランス感覚が絶妙で、全編を通して非常に「聴き馴染みの良い」アルバムになっています。
「中期スピッツ」を代表する一枚ですので、是非とも手に取っていただきたい作品です。
5. 名前をつけてやる
M1. ウサギのバイク
M2. 日曜日
M3. 名前をつけてやる
M4. 鈴虫を買う
M5. ミーコとギター
M6. プール
M7. 胸に咲いた黄色い花
M8. 待ち合わせ
M9. あわ
M10. 恋のうた
M11. 魔女旅に出る
最後におススメするのが、1991年発売の通算二枚目のオリジナルアルバム『名前をつけてやる』です。
これまで紹介してきたディスコグラフィーの中でも最も古い作品となっています。
『ロビンソン』、『空も飛べるはず』などのミリオンヒットを飛ばして国民的バンドとなる「前」のスピッツの作品です。
よって、よりディープにスピッツを知れる、かなり玄人向けのアルバムとなります。
それゆえ、彼らの若さも相まって、彼らが何を聴いて育ってきたのか、その影響がそのまま「彼らの音楽」として表れていると感じます。
「M6. プール」は、特にシューゲイザーサウンドが特徴で、「重たく幻想的な音像が好きな人」は心から良いと思える一枚でしょう。
有名になった後では垣間見ることが出来ない「むき出し」のスピッツを聴きたいなら是非このアルバムをオススメします。それと、個人的には、草野さんのボーカルに最も「表情を感じとれる」作品だと思います。
ちなみに、将棋界の若き天才・藤井聡太さんもスピッツ好きを公言しており、スピッツの名曲を聞かれた際にM11.の『魔女旅に出る』とかなりコアな曲を挙げたことにより、ファンの間でかなり盛り上がったことも小ネタとして、最後に添えておきます。
スピッツの名曲名盤まとめ
以上が「スピッツの名曲名盤まとめ」になります。
皆さん、いかがだったでしょうか。
著者もランキングを考えるにあたり、スピッツの魅力についてさらに深く掘り下げる良い機会となりました。
ですが、今回ご紹介した楽曲は、スピッツが生んだ数ある名曲の内の「ほんの一部」に過ぎません。
これを機に、是非皆さんにも、たくさんあるスピッツの楽曲たちを「より深く掘り下げて」聴いていただけたらと思います。
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