ヘヴィメタル・シーンの王者にして、ヘヴィメタルの代名詞でもあるメタリカ。1983年のデビューからこれまでに発表してきた楽曲は100曲を超えています。
メタリカに興味はあるものの
「なにから聴いていいか分からない」
「おすすめの楽曲を知りたい」
そんな方に向けてメタリカの
- 名曲ランキング25選
- 隠れた名曲5選
- これだけは持っておきたい名盤3選
をセレクトしました。
楽曲の特徴がひと目で分かる「名曲パラメーター」を用意していますので、ぜひ好みの楽曲を見つけてみてください。
メタリカの名曲ランキング
1位 Master Of Puppets
3rd『Master Of Puppets』に収録されている9分弱におよぶミドルテンポナンバー。
メタリカの曲で最高傑作といえばこれをオススメしたいです。
鈍器で殴られるかのような重たいギターリフでスタートし、途中で静寂パートを挟むなど起伏に富んだ展開でリスナーをグイグイ引き込みます。中間部の叙情的なツインリードのハモりや湿り気を帯びたギターソロはトリハダもの。
展開美を全面に押し出したドラマティックな内容と薬物依存をテーマとしたシリアスな歌詞は、メタリカの緻密で知的な要素が強く出ているといえるでしょう。
ライヴでは観衆から「マスター!マスター!」の大合唱が起こるキメ曲で、必ずセットリストに組み込まれます。まさに邦題「メタル・マスター」の名にふさわしい名曲です。
2位 Battery
3rd『Master Of Puppets』のオープニングナンバー。
もの憂げなアコースティックギターから始まるイントロから一転、スピーカーを切り裂くような鋭い高速ギターリフの応酬に多くのヘヴィメタル・ファンがノックアウトされました。
このスラッシュメタルを代表する名ギターリフに、アンスラックスのスコット・イアンも当時は「してやられた!」と思ったほど。
凄まじいエネルギーを放出しながらも、メロディアスな音使いと知的なコード進行を交えるあたりは他のスラッシュメタル・バンドと一線を画しています。何百回、何千回と聴き込んでも、全身の血液が逆流するような高揚感に包まれること必至。多くのメタリカ・ファンがいまだに「Battery」の幻影を追ってしまうのも納得の名曲です。
3位 One
4th『…And Justice For All』収録のドラマティックナンバー。
メタリカが初めてミュージックビデオを作成した楽曲で、ヘヴィメタル・ファン以外の一般リスナーにもメタリカの名前が浸透するきっかけとなった名曲です。
映画「ジョニーは戦場へ行った」にインスパイアされたダークでシリアスな内容とメタリカならではの構成美がシンクロ。クリーン・サウンドとディストーション・サウンドの対比が見事で、とくに中間部の全楽器による6連ユニゾンからスピードアップする展開は息を呑む劇的さです。
メタリカはこの楽曲でグラミー賞のベスト・メタル・パフォーマンス部門を受賞し、名実ともにトップバンドの仲間入りを果たしました。
4位 Creeping Death
2nd『Ride The Lightning』収録の大人気ナンバー。
メタリカの真骨頂である構築美を感じる名曲です。ソリッドなギターリフで組み立てられており、要所で炸裂するギターハーモニーや流麗なギターソロもヘヴィメタル・ファンのツボをビシバシ突きまくり。
ライヴでも必ず演奏される定番ナンバーで、ジェイムズ・ヘットフィールドと観客による「ダイ!ダイ!」のコール・アンド・レスポンスはもはや名物となっています。
また、ジェイムズのダウンピッキングの速さにも注目。楽曲そのものは速いわけではありませんが、実際にこれをダウンピッキングで演奏するとなると……確実に腕が壊れます。ライヴではさらにスピードアップするから驚きです。
5位 Enter Sandman
5th『Metallica』のオープニングナンバーで、全米シングルチャート16位を記録。
スピードを捨て、グルーヴとヘヴィネスを強調した新生メタリカ・サウンドの幕開けを宣言した名曲です。サウンドがシンプルになったことにより、説得力を増したジェイムズ・ヘットフィールドの歌が際立ちました。
メタリカの代表曲となった「Enter Sandman」ですが、メインリフがクロスオーバー・スラッシュ・バンド、エクセルの「Tapping Into The Emotional Void」に酷似しているとの指摘もあります。真相は分かりませんが、聴き比べてみるのも面白いですよ。
6位 Nothing Else Matters
5th『Metallica』収録の本格バラード。
プロデューサーのボブ・ロックに「演じるように歌えばいい」とアドバイスを受け、シンガーとして覚醒したジェイムズ・ヘットフィールド。哀愁のメロディを引き立てる深みのある歌唱はまさに絶品です。
また、ブルージーなギターソロを弾いているのもジェイムズ。本楽曲はジェイムズのメロディ・メーカーとしての魅力が凝縮された名曲に仕上がりました。
リリース当初、メンバーはファンが困惑することを心配していました。しかし、いざフタを開けてみると一般層をも巻き込んでリスナーの心をガッチリと掴むことに成功。いまではマイリー・サイラスやシャキーラなどポップ・フィールドのアーティストにもカバーされるほど愛されています。
7位 Seek and Destroy
1st『Kill ‘Em All』収録の人気曲。
シンプルな単音ギターリフとヘヴィメタル特有のカッチリとした構成がライヴ映えするミドルテンポナンバーです。シンプルがゆえのリフ作りのうまさが光る良い例でしょう。
実際にライヴのクライマックスに演奏されることが多く、ジェイムズ・ヘットフィールドと観客による「シーク・アンド・デストロイ!」の掛け合いもお約束。この曲が始まるとライヴが終盤に差しかかったことを理解するため、興奮とともにちょっとした寂しさを感じることも事実です。
8位 Blackened
4th『…And Justice For All』のオープニングナンバー。
シンプルなようで実はリズムに仕掛けが入っているメインリフをはじめ、テクニック志向と従来のスラッシュメタル路線をうまくブレンドし、テクニカルスラッシュとも呼べる音像を作り上げました。
カーク・ハメットのギターソロやラーズ・ウルリッヒのドラミングも格段に難易度が上がっており、メンバーの技術が成熟したことが分かります。
ムダを削ぎ落としたシャープなサウンドは「ベースが聴こえない」と批判を浴びましたが、リマスター盤でも改善されていないことを考えると、初めからメンバーが意図したサウンドなのでしょう。
9位 For Whom the Bell Tolls
2nd『Ride The Lightning』収録のミドルテンポナンバー。
ヘミングウェイの小説「誰がために鐘は鳴る」を題材としたスケールの大きな楽曲です。鐘の音とクリフ・バートンの歪んだベースリフからスタートし、全楽器がユニゾンで突き進むヘヴィなパートへ突き進む展開はド迫力。
メロディアスなギターフレーズや歌メロには伝統的ヘヴィメタルの香りが漂っており、NWOBHMの影響を強く感じます。
スピード至上主義のスラッシュメタルにおいて、テンポを落としても魅力的な楽曲・リフが書けることを証明したメタリカは「ただのスラッシュメタル・バンドでは終わらない」ポテンシャルの高さを見せつけました。
10位 Welcome Home (Sanitarium)
3rd『Master Of Puppets』収録のエモーショナルなナンバー。
映画「カッコーの巣の上で」にインスパイアされ、精神病患者を題材とした重苦しい楽曲です。叙情的なアルペジオで始まり、徐々にヘヴィさを増していく展開とジェイムズ・ヘットフィールドの迫真のヴォーカルがシリアスさを演出。
特筆すべきはギターワークの美しさで、カーク・ハメットによるギターソロと終盤のツインハーモニーは涙なしでは聴けません。
凡百のスラッシュメタル・バンドとは異なるメタリカの懐の深さを見せつけた名曲です。また、本楽曲の方向性は次作『…And Justice For All』収録の「One」に引き継がれていきます。
11位 Motorbreath
1st『Kill ‘Em All』収録のスピードナンバー。
ラーズ・ウルリッヒのドラム・フィルインからスタートし、ラストまでスピーディーに一気に駆け抜けます。小気味よい疾走感がヘッドバンギングにもってこいの楽曲です。
細かなギターカッティングはヘヴィメタルならではですが、ジェイムズ・ヘットフィールドの衝動たっぷりのヴォーカルとキャッチーなメロディはパンキッシュで悪ガキ感がたっぷり。
スラッシュメタルのルーツであるNWOBHMとハードコアパンクを飲み込んで、そのまま吐き出したような興味深い名曲です。
12位 Fade to Black
2nd『Ride The Lightning』収録のバラード系ナンバー。
リリース当時「スラッシュメタル・バンドがバラードを?」とファンを驚かせましたが、そこはメタリカ。ただ単にスローで美しいだけでなく、ヘヴィなリフも交えたメタリカ流のパワーバラードに仕上げました。
7分に迫る長尺曲ながら、リリカルなギターパートとダイナミックな展開で一気に聴かせます。メンバーがリスペクトするNWOBHMバンド、ダイアモンド・ヘッドを彷彿とさせる場面もちらほら。
まだ青さの残るジェイムズ・ヘットフィールドの歌声も実直で胸を締めつけます。
13位 Sad But True
5th『Metallica』収録のスローナンバー。
メタリカ史上初の7弦ギターを使用した楽曲で、地を這うようなウルトラヘヴィネスが魅力です。スローテンポではありますが、かったるさはゼロ。リフのキャッチーさと極太グルーヴに自然と頭が揺れます。
ジェイムズ・ヘットフィールドのドスが効いたヴォーカルも迫力満点です。
スピーディーな楽曲が数多く演奏されるライヴにおいても重要な位置に配置され、会場の雰囲気を一変させる魔力を持っています。
14位 St. Anger
8th『St. Anger』収録のアグレッシブナンバー。
バンド分裂の危機を乗り越えたメタリカが放った起死回生の一撃でした。往年の攻撃性を取り戻し、再びヘヴィメタルへと回帰。ラーズ・ウルリッヒの気合が入ったツインバスドラム連打にどれだけのファンが歓喜したことでしょう。
デモ音源かと勘違いするような未整理で生々しいサウンド・プロダクションは野心家のメタリカらしい実験的な試み。楽曲もギターソロは省きリフのみで構築されました。
スリップノットなど新世代のヘヴィメタル・バンドが台頭するなかでも王者の貫禄を見せつけた21世紀の名曲です。
15位 Damage, Inc.
3rd『Master Of Puppets』のラストを飾るスラッシュメタル・ナンバー。
顔面パンチを浴びせるような怒涛のリフ攻撃で、メタリカ史上トップクラスの速さを誇る名曲です。あっという間にボコボコにされ、完膚なきまでに叩きのめされます。
カーク・ハメットによるワウペダルを絡めたギターソロもクレイジー。
また、本楽曲の特徴的なギターサウンドにも触れないわけにはいきません。強烈に歪みながらも、一音一音がクリアに聴き取れるギターサウンドは発明と言えます。秘密はEMGピックアップとメサブギーアンプ。いまではヘヴィメタル・ギタリストの定番となっていますが、世の中に広めたのはメタリカが最初です。
16位 The Unforgiven
5th『Metallica』収録のバラード系ナンバー。
メタリカらしいボトムの効いたディストーションギターを導入したパワーバラードです。サビにかけて徐々に盛り上がる曲は多いですが、本楽曲はその逆。Aメロでガツンと盛り上げて、サビは静かに切々と進行するというニクイ構成となっています。
本楽曲の一番の聴きどころはカーク・ハメットによる情感たっぷりのギターソロ。カークが残したギターソロのなかでも史上最高の名演とも言われており、まるで敬愛するマイケル・シェンカーが乗り移ったかのような泣きのギターを披露しています。
17位 Fight Fire With Fire
2nd『Ride The Lightning』のオープニングナンバー。
クラシックギターの優雅なイントロから、爆裂スラッシュメタルへなだれ込む残虐な名曲です。2本のギターがひたすらゴリゴリと刻むパワープレイは圧巻。
1st『Kill ‘Em All』から格段にビルドアップされたゴツいサウンドも功を奏して、メタリカ史上最凶のスラッシュメタルナンバーとなっています。
凝った展開を得意とするメタリカにとって、これほどのストレートなスラッシュメタルは珍しいと言えるでしょう。また、リリース当時はスラッシュメタルには禁じ手と思われていたクラシックギターを堂々と使うあたりは、さすがメタリカです。
18位 Fuel
7th『Reload』収録のハード・ドライビングなロックナンバー。
メタリカが「脱ヘヴィメタル」していた時期において、旧来のファンがホッとひと安心した楽曲です。
しかし、勢いがあるとはいえ、初期曲と比べるとトガリ具合にもの足りなさを感じるのは事実。実際にイントロのテンションが続かないことに肩透かしを食らったファンも多いはずです。
ヘヴィメタル・ファンからの評価は厳しいものでしたが、広い意味でのロック・ファンからは熱烈な支持を得ました。そんな時代を代表する名曲です。
19位 The Four Horsemen
1st『Kill ‘Em All』収録。
ガリガリと引っかかりのあるギターリフが特徴的で、楽曲の組み立て方などにNWOBHMの影響が強く感じます。憂いのある中間部の展開やギターソロにもブリティッシュ・テイストが満載。
実はこの「The Four Horsemen」は元メンバーで現メガデスのデイヴ・ムステインが作曲したいわくつきの楽曲です。
メガデスの1stアルバム『Killing Is My Busine…And Business Is Good!』にも「Mechanix」というタイトルで収録されているのですが、そちらはメタリカへの対抗心が剥き出しの倍速バージョンとなっていますので、ぜひ聴き比べてみてください。
20位 Spit Out The Bone
10th『Hardwired… To Self-Destruct』収録のスピードナンバー。
1st『Kill ‘Em All』にも通じる直線的な疾走感はメタリカ流のハードコアパンクといった趣の楽曲です。7分の長尺を高いテンションを保ったまま、ダレることなく一気に駆け抜ける様は圧巻。
ロバート・トゥルヒーヨのブリブリに歪んだベースソロやツインギター・ハーモニーなどメンバーそれぞれの見せ場も設けており、バンドの一体感が強く感じられる構成となっています。
ジェイムズ・ヘットフィールドのヴォーカルもやたらと熱く、メンバーの演奏もフレッシュです。
21位 Whiplash
1st『Kill ‘Em All』収録のスラッシュメタルナンバー。
低音弦をひたすら刻みまくるギターやジェイムズ・ヘットフィールドのヒステリックなヴォーカルなど、若さゆえのエネルギーが大爆発した名曲です。
「Whiplash」というタイトル通り、まさにムチを連打するような疾走感で駆け抜けるスラッシュメタルの基本形。スラッシュメタルバンドとしてのメタリカを語る上では欠かせない楽曲と言えるでしょう。
やみくもな突進力だけでなく、ひとつひとつのギターリフがキャッチーに仕上がっていることもポイントです
22位 Disposable Heroes
3rd『Master Of Puppets』収録のドラマティックナンバー。
タイトルは「使い捨ての英雄」の意味で、メタリカ流の反戦歌となっています。
矢継ぎ早にくり出される機銃掃射のようなギターリフと練り込まれた楽曲展開はメタリカの真骨頂。「前線へ戻れ!」のコーラスが印象的で、疾走感と重厚感を両立した破壊力満点の名曲です。
アルバムのなかでは「Battery」「Master Of Puppets」といった人気曲の影に隠れがちですが、メタリカの本質を体現した名曲となっています。
23位 The Day That Never Comes
9th『Death Magnetic』収録の壮大で感傷的なナンバー。
「Welcome Home (Sanitarium)」や「Fade to Black」の延長線上にあるパワーバラード系で、メタリカらしい構成美は健在。ベテランの域に入り、余裕と貫禄を感じます。
ヘヴィメタル・ファンならガッツポーズもののツインリードもたっぷりフィーチャー。カーク・ハメットのギターソロは70年代ハードロック風の渋みが増しています。
オーガニックなサウンド・プロダクションと枯れた味わいはレッド・ホット・チリ・ペッパーズを彷彿とさせますが、それもそのはずで、プロデューサーにリック・ルービンを起用したことも話題となりました。
24位 Orion
3rd『Master Of Puppets』収録のインストゥルメンタルナンバー。
壮大で幻想的な本楽曲はベーシストのクリフ・バートンが夜空に輝くオリオン座を眺めながら作曲したと言われています。
8分を超える大曲であり、さらにインストゥルメンタルというハードルの高さを微塵も感じさせない構築美は驚異的です。ヘヴィメタル・ミュージシャンでありながら、クラシックにも精通していたクリフだからこそ生み出せたのではないでしょうか。
そんなクリフはアルバムリリース後のツアーバス事故で他界。若干24歳でした。もしクリフが生きていたら、いまごろどんな楽曲を残していたでしょうか。そんな思いを巡らすと興味が尽きません。
25位 Moth Into Flame
10th『Hardwired… To Self-Destruct』収録のドラマティックナンバー。
ミドルテンポ〜ファストへの切り替えが興奮ものの構成美に溢れた楽曲です。
ツインリードのイントロから始まり、すぐさま重戦車のような力強いギターリフが炸裂。ほのかな哀愁を堪えた歌メロとメロディアスな旋律を奏でるリードギターが楽曲をグイグイ引っ張っていきます。
2017年のグラミー賞授賞式でレディ・ガガと競演したことも記憶に新しいところ。「Master Of Puppets」を彷彿とさせるメタリカの美学が惜しげもなく詰め込まれた新たな名曲です。
メタリカの隠れた名曲5選
Dyers Eve
4th『…And Justice For All』収録のファストナンバー。
複雑で難解な楽曲が多く占めるアルバムにおいて、唯一ストレートな疾走感を持つ楽曲です。ライヴでもほとんど演奏されないため、過小評価されている楽曲と言えるのではないでしょうか。
聞きどころは、なんといっても摩擦係数がバカ高い超高速カッティング。ラーズ・ウルリッヒによる怒涛のドラミングと合わさって、まさに爆風のような猛烈な体感速度を味わえます。
歯切れのよいヴォーカルと歌ごころあるメロディ展開も素晴らしく、埋もれるにはもったいない名曲です。
The Frayed Ends Of Sanity
4th『…And Justice For All』収録の長尺ナンバー。
メカニカルな硬質ギターリフをつなぎ合わせたメタリカらしい構築美が感じられる楽曲です。
メタリカの数あるドラマティック系名曲と比較すると、やや薄口ではあるものの、ミドルテンポでじわじわと盛り上がる構成や緊張感が漂う展開は耳を引きます。
無機質なサウンドのなかでメロディアスな歌メロがいっそう際立っており、隠れた名曲の名にふさわしい一曲です。
Until It Sleeps
6th『Load』収録のロックナンバー。
硬派だったはずのメタリカが薄っすらと化粧をしたり、「オアシスが好き」発言などファンをやきもきさせた時代の楽曲です。ファンの不安は的中し、硬質なヘヴィメタルから隙間の多いロック的なサウンドへ移行。「ロクタリカ」などと揶揄されたりもしました。
本楽曲はニューウェーブ的な陰鬱なムードに支配されていますが、静と動の対比や哀愁のメロディにメタリカらしさが散見されます。
ただ、純粋に楽曲としてのクオリティーは高いため、その点は「さすがメタリカ」といったところです。
The Memory Remains
7th『Reload』収録のロックナンバー。
名女優の光と影にスポットを当てた映画「サンセット大通り」を題材とした楽曲です。このコンセプトに当てはまるということで、イギリス出身の女優/シンガーであるマリアンヌ・フェイスフルをゲストに招きました。
ヘヴィにうねるサウンドとマリアンヌのしゃがれたコーラスが美しくも不気味な雰囲気を演出。メタリカが公式の楽曲でゲストを迎えることは珍しく、異色のコラボレーションとなりました。
アルバムからシングルカットされ、全米シングルチャート28位と健闘しました。
Trapped Under Ice
2nd『Ride The Lightning』収録。
名曲揃いの初期において「駄曲」の烙印を押されてしまっている不遇の楽曲です。メタリカ自身も自覚があるのか、ライヴではほとんど演奏しません。
しかし「駄曲」と切り捨てるには惜しい楽曲です。ゴリゴリと刻むスラッシーなギターリフと性急なヴォーカルは緊迫感に溢れており、非常にエネルギッシュ。
確かにリフや構成の練り込み不足感は否めませんが、疾走感やテンションは同時代の名曲群にも引けをとっていません。メタリカの隠れた名曲の頂点に君臨する一曲です。
これだけは持っておきたいメタリカの名盤3選
Master Of Puppets
1986年にメジャーレーベル「Elektra」からリリースされた3rdアルバム。
メタリカのアルバムの中でも最高傑作ともいえる作品。
スラッシュメタルらしい攻撃性を維持したまま、各楽曲のドラマ性を極限まで高めた本作は、それまでアンダーグラウンドな存在だったメタリカおよびスラッシュメタルをオーバーグラウンドへ引き上げた歴史的名盤です。
当時、ミュージックビデオやラジオのエアプレイがなかったにもかかわらず、全米アルバムチャート29位まで上昇。世間のみならず、ヘヴィメタル・ファンでさえも驚きました。
本作はのちのメタリカ快進撃の序章となっただけでなく、いまなお「ヘヴィメタルの教科書」として多くのファンに愛されています。また、アルバムリリースに伴うツアー中の交通事故でクリフ・バートンが他界するという悲劇も生みました。
Metallica
1991年にリリースされた5thアルバムで、通称「ブラック・アルバム」。
ヘヴィメタル・シーンで確固たる地位を築いたメタリカがロック/ポップ・フィールドへ殴り込みをかけた作品です。それまでのメタリカの特徴であったスピードや複雑な楽曲展開を封印。ヘヴィネスとグルーヴに焦点を当て、楽曲もシンプルなものへと変化しました。
ジェイムズ・ヘットフィールドがシンガーとしての能力を開花させたこともあり、キャッチーな要素が増大。アルバムから5曲がシングルカットされ、なかでもバラードナンバー「The Unforgiven」「Nothing Else Matters」の大ヒットにより、一般層にもアピールしました。
その結果、バンド史上初となる全米アルバムチャート1位を獲得。現在までに2,000万枚以上のセールスを記録しているモンスターアルバムとなっています。
Ride The Lightning
1984年にインディレーベル「Megaforce」からリリースされた2ndアルバム。
一部のマニアを除いた普通のヘヴィメタル・ファンからは「うるさいだけ」と忌み嫌われていたメタリカが、そのポテンシャルを開花させた名盤です。
デビュー作『Kill ‘Em All』と比較すると、攻撃性・ドラマ性・演奏力・楽曲構築力などすべてにおいて飛躍的に進歩。たった一年で別のバンドかと錯覚するほどの成長を遂げました。
狂気じみたスラッシュメタル・ナンバー「Fight Fire With Fire」からパワーバラード「Fade To Black」までバラエティ豊かな楽曲を収録し、ただのスラッシュメタル・バンドには留まらないスケールの大きさを感じます。
メタリカの名曲まとめ
以上、メタリカの名曲を厳選して紹介してきました。
上記の楽曲を押さえておけば、もう立派なメタリカ・マニアです。今回セレクトしたもの以外にもカッコいい楽曲がたくさんありますので、興味がある方はぜひ深堀りしてみてください。
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