この記事では日本人フラメンコギター奏者を紹介しています。
また、日本人フラメンコギターの名手ランキングをつけていますが、あくまでも筆者の個人的主観をもとに、奏者を見やすくするまとめる手段としてランキング付けをしています。
したがって、このランキングがすべてを位置づけるものではありませんのであしからず。
フラメンコギターとは?
フラメンコギターの特徴
フラメンコギターというのは、他の音楽のギターとは違います。
フラメンコは歌、踊り。ギターの伴奏がすべて一致してできる総合芸術ですので、フラメンコをまず理解しなければフラメンコギターは弾けません。
フラメンコはスペインに住み着いたロマ族の伝統音楽で、形式が50以上あり、その一つ一つがコードもリズム(コンパス)も大体のメロでィ―も決まっていて、それをまず覚えなくてはいけません。全部覚える必要はないかも知れませんが、中心なものは覚えないと弾けませんね。
楽譜もなく、ほんの半世紀くらいまではフラメンコギタリストで楽譜を読める人など一人もいなかったはずです。
複雑な奏法のフラメンコギター
コンパス(リズム)は非常に大事で、西洋音楽のリズムよりずっと複雑。
それを体で覚えるためには踊りの伴奏をするのが一番で、踊りの伴奏ができなければフラメンコギタリストとは言えないと思います。
また、右手の奏法がギターの中で一番難しいのはフラメンコだと言います。
パコ・デ・ルシアから左手のコードも多様化してきて、難しいと同時に一人一人のセンスが重要になってきました。
日本人は真面目なので、テクニック的には上達します。
でもフラメンコ的なセンスを生まれた時から身につけられない日本人は、まだまだ自分でオリジナルを作曲して発表する人は少ないと思います。
そんな複雑な奏法のスペインギターですが、スペイン人にも引けをとらない素晴らしい日本人のスペインギター奏者の中でも選りすぐりの名手をご紹介します。
フラメンコギター奏者ランキング選定の基準
私なりのランキングを作りましたがこれは、かなり独断と偏見が入っています。
基準
- テクニックの正確さ
- オリジナリティ
- 知名度
これらをもとに日本人のフラメンコギター奏者をランキング付けしています。
フラメンコの特徴として、まずコンパスの切れの良さがあります。これはギターだけではなくて、パルマ(手拍子)、踊りにも言えることですが、ロマ族独特の切れがなくてはフラメンコとしては質が低い感じがします。
ラスゲアード、ピカード、アルサプアの切れが良いか、また、決まったコードを使いつつ、オリジナリティがあるかなどを見ながらランキングを作ってみました。
【フラメンコギター奏者】日本を代表する名手ランキング
1位 沖仁
メイン使用機材 | テオドロ・ペレス/黒澤哲郎 |
プレイスタイル | 非常に早くて切れのいいラスゲアード |
実績 | 国際部優勝 |
オフィシャルサイト | JIN OKI |
junglejinjin |
沖仁さんのメイン使用機材はテオドロ・ペレス、黒澤哲郎です。
プレイスタイルの特徴としてはまず第一に非常に早くて切れのいいラスゲアードがあげられます。
それだけではなくオリジナルのファルセータ、またフラメンコの技術を使った他のジャンルの曲アレンジ等も沖仁さんの特徴でもあります。
ニーニョ・リカルド・フラメンコギターコンクールで、日本人で初めて国際部優勝を果たしたというお墨付きのテクニックです。リズム感、ラスゲアードやピカードの切れの良さは抜群です。
また他のジャンルとのセッションも多く行っていて、多様な才能がある、今を代表する日本のフラメンコギタリストです。
名実ともに最高峰と言えます。
2位 ホセ・タナカ
メイン使用機材 | 不明 |
プレイスタイル | 速いコンパス |
備考 | YouTubeレッスンあり |
オフィシャルサイト | https://www.josetanaka.com/ |
ツイッター | @jose_tanaka |
YouTube | Jose Tanaka |
メイン使用機材に関してはハッキリとわかりませんでしたが、パコ・カスティ―ジョかコルドバGK Studio Negroみたいに見えます。違っていたらごめんなさい。あくまでも参考程度に。
ホセ・タナカ氏のプレイスタイルの特徴としては速いコンパスの中にコードを挿入、特にレガートの使い方が面白いです。
両親がフラメンコのアーティストだったからか、小さい時に植え付けられた、日本人とは思えないフラメンコ的なセンスがありますね。
もともとロックのギタリストを目指したというポップな感覚もあり、クールなフラメンコを奏でるギタリストです。
ユーチューブでのレッスンビデオも充実していて親切。
3位 鈴木英夫
メイン使用機材 | アルカンヘル |
プレイスタイル | コンパスのリブレ |
備考 | パコ・デ・ルシアと交友アリ |
オフィシャルサイト | 鈴木英夫|フラメンコギター |
スクール | 新宿区/さいたま市 |
鈴木英夫氏のメイン使用機材はアルカンヘルです。
プレイスタイルの特徴としては伝統的なフラメンコのコードを使いつつ、本人らしい、グラナイーナ、ファンダンゴなど、コンパスのリブレ(リズムの自由な)が挙げられ、オリジナルの曲が素敵です。
巨匠マノロ・サンルーカルに指示し、100年に一人しか出ないと言われた天才ギタリスト、パコ・デ・ルシアとも交際のあった日本人。
コンパスがリブレ(自由なリズム)だからと言って、何でもいいわけではありません。
フラメンコの基本をよく理解しない人にはかえって難しいのかもしれませんが、理解できるようになると、奏者としてのすばらしさが徐々にわかってきます。
当然リズムのある曲も素晴らしいです。
フラメンコが本当に素晴らしい時「ドゥエンデ(妖精)がある」というのですが、鈴木さんの演奏はいつもドゥエンデがあります。
グローバル化で、スペインのフラメンコ界もここ30年ほどでずいぶんオープンになり、日本人も簡単にスペインに行ってフラメンコを勉強しに行けるようになりました。
しかし鈴木英夫氏は、その前から第一線で活躍している奏者。
完全に実力のみでやってきました。だからこそ本物のフラメンコを弾けたのだと思います。
4位 エンリケ・坂井
フラメンコのカンテ(歌)の日本での研究第一人者であるところから、純ヒターノ(ジプシー)的な奏法、フラメンコの神髄を探る音を奏でるギタリストです。
パコ・デ・ルシア以降、フラメンコギターの概念は180度変わったと言っても言い過ぎではないと思うのですが、坂井さんの演奏はそれ以前の純なフラメンコを再現しています。
これはテクニックがないという事ではありません。
新しいテクニックも使いつつ、ドゥエンデの純粋な、いかにもアンダルシアのジプシーの音を追及しているという事です。
坂井さんのギターの魅力は何といっても純粋に伝統的な、ジプシーの洞窟かなんかの中で、スペイン語でぺーニャと言いますが、フラメンコの愛好会の中にでもいるような気分になれます。
5位 鈴木尚
メイン使用機材 | コンデ・エルマノス |
プレイスタイル | 高水準でバランスの良い。 |
師 | パリージャ・デ・へレス |
備考 | 舞台曲制作など |
オフィシャルサイト | フラメンコギタリスト 鈴木 尚 |
メイン使用機材はコンデ・エルマノスです。
プレイスタイルの特徴の特徴としては、高水準でバランスが取れていてレベルの高い印象があります。
それでいて落ち着きがあり伝統に根付いた、オリジナルのフラメンコ曲とともに、日本の文化とのフュ―ジョン感覚といったところでしょうか。
伝統的なフラメンコを追求しつつ、フラメンコ第2の国とまで言われる日本的なフラメンコを、探求した世代の第一人者です。
伝統が伝わるフラメンコのオリジナルの作品も多いですが、舞台用の作曲も手掛けており、多岐にわたった活動を続け、多才なアーティストであるのが人気の理由。
6位 今田央
使用機材 | コンデ・エルマノス |
プレイスタイル | 正確なリズム |
師 | ・マノロ・サンルーカル ・パリージャ・デ・ヘレス |
実績 | 1996年日本フラメンコ協会第5回新人奨励賞受賞 |
サイト | 洗足学園音楽大学 |
メイン使用機材はコンデ・エルマノスです。
プレイスタイルの特徴としては踊りの伴奏を主にして、抜群のテクニックが挙げられます。
それに加え、正確なリズムの刻み方、特にラスゲアードの切れは素晴らしいです。
日本人のギタリストでフラメンコギターから弾き始める人は少ないです。
今田さんも同様にフラメンコギターから始めてはいません。
しかし、他のジャンルからも得た音楽の素養があり、正確なテクニックでフラメンコ的なセンスが感じられるのが魅力的です。
巨匠マノロ・サンルーカルに師事していました。
つまりは、サンルーカル、パコ・デ・ルシアのように、スペインでフラメンコギターの革命をしたギタリスト達の感覚を吸い上げています。
したがって、今田央さんは広いモダンフラメンコの感覚に溢れています。
今現在は洗足学園音楽大学講師で、音楽としてのフラメンコを日本の若い音楽家たちに伝えています。
日本人フラメンコギター(スペインギター)奏者の名手まとめ
上記のランキングは日本人のフラメンコギター奏者をまとめました。
まだまだ日本人のフラメンコギターの名手はたくさんいます。その中でも有名な奏者を紹介しました。
あくまでも個人的主観で決めたもの。
日本人のフラメンコギター奏者を知るうえでの参考になればと思います。
フラメンコギターを始めるならコチラの記事!
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