このような人に向けての記事です。
- ギターの弦を押さえるとビビる
- 1本の弦だけビビリがある
この記事では、ギターの弦がどの部分でビビるのか特定し、原因ごとにビビリの解消法と手順を解説していきます。
弦のビビリがあると、気になって演奏に集中できないですね。
ビビリを解消することで、演奏のストレスが解消します。
結論として、弦のビビリの原因はハイポジション、ローポジションか、一つの弦のみか、特定の弦のみで弦がビビるのか、見つけることです。
つまり、弦のビビリがどの地点かを特定できれば、弦のビビりを解消することが可能です。
ギターの弦がビビるとは
弦のビビリとは、フレットが弦に接触して詰まったような音やビリついた音に聞こえてしまう不快な音です。
弦のビビリには、開放弦(なにも押さえずに鳴らす弦のこと)で弾いてビビる場合と弦を押さえて弾いてビビる場合とあります。
弦がビビることで、ギター弦を弾いた時に、自然な音を奏でてくれません。
つまり、弦のビビリがあることでギター演奏や観客に違和感を感じさせてしまうのです。
ハイポジション・ローポジションでビビる場合
ハイポジション・ローポジションでビビる原因
ハイポジション、ローポジションか、一つの弦のみか、特定の弦のみで弦がビビるのか、どの地点で弦がビビっているか特定することが必要です。
つまり、弦のビビリがどの地点かを特定できれば、弦のビビりを解消することが可能です。
ポジションとは指板の音の配置の関係のことを指します。
- ハイポジションでビビる場合
-
ネックとボディーの接合部分から順反り(ハイ起き)しています。
- ローポジションのみビビる場合
-
ネックが逆反りしていることが原因と考えられます。
明確に決まりはありませんが、この記事では、12から18フレットあたりをハイポジション、開放弦から5フレットあたりをローポジションと指しています。
ハイポジション・ローポジションの弦のビビリの解消策
ハイポジション・ローポジションの弦のビビリの解消策は、ネックを真っ直ぐにすることです。
ネックを真っ直ぐにする方法は次のやり方があります。
- トラスロッドの調整
- ネックアイロンの使用
ここで疑問になるのが、トラスロッドの調整をすればいいのか、ネックアイロンを使用するのかの判断です。
まず優先するならトラスロッドの調整を行いましょう。
なぜなら、作業の手間や難易度を考えたとき、トラスロッドの調整を行うほうが、はるかに簡単だからです。
ネックアイロンは、サーモヒーターや一般家庭にあるアイロンなどのネックを温める機器が必要です。
ネックアイロンでやり方を誤ると、ネックがねじれたり、指板が剝がれたりして、もっと悪化してしまうこともあります。
悩んだら、まずトラスロッドの調整から行ってみて下さい。
トラスロッドの調整でビビリの解消法
順反りになっている場合は、ネックを上にして時計回りにトラスロッドを回します。
逆反りになっている場合は、反時計回りトラスロッドを回します。
ここでは、トラスロッドの調整の仕方についての詳細は割愛します。
大まかなトラスロッドの調整作業のコツとしては、
- トラスロッドを45度程度
- 回すネックの反りの状態とビビリがあるかの確認
- トラスロッドを45度程度、回す
- ネックの反りの状態とビビリがあるかの確認
- ネックが真っ直ぐになるまで上記の工程を繰り返し
ネックアイロンでビビリの解消法
ネックアイロンは、ネック全体をヒーターで温めてクランプでスペーサーを挟んでネックを真っ直ぐにするやり方です。
ネックアイロンが有効なのは、次の通りです。
- トラスロッドの稼働範囲内で調整できないほどネックがひどく反っている
- フレットのすり合わせができないほどフレットが薄くなっている
- トラスロッドがないギターである
クラシックギターは、トラスロッドがないものが多いです。
クラシックギターはネックアイロンでネックの反りの修正をします。
ヒーター熱によりネック材を温め、ネック材が熱により動きやすい状態にします。
スペーサーを使いクランプで挟み込むことでネック材を修正します。
ネックアイロンの作業は、自分で行うことも可能ですが、失敗したときのリスクを考えると個人的にオススメしません。
なぜなら、ネックアイロンでのネックの修正は、ヒーターの温度調整やスペーサーをクランプでおさえる力加減は経験のあるリペアマンでないとわからないからです。
もっとネックが反ってしまったり、ねじれた状態になるような失敗もあります。
熱を加えすぎて、指板とネックの接着面が剝がれてしまうこともあります。
作業に自信がない人や初心者の人は、ジャンクギターを使って何度か練習して経験を積むか、楽器店やリペアマンに依頼しましょう。
開放弦のビビり
開放弦で弾いた時にビビる原因
開放弦で弾いた時にビビる原因となるのは、ナットの溝は深すぎる場合です。
ナットの溝が深すぎると、弦を弾いた時に必要以上に弦が振幅し、ナット付近から詰まったような音(ビビリ)が出ます。
さらにナット溝が深いと弦が下がりすぎて、弦を弾いた時に1フレットに接触した状態となります。
つまり、ナット溝と弦の太さ(ゲージ)が適切でないと、開放弦でビビる原因になります。
開放弦のビビリ解消法
開放弦のビビりを解消するには、弦のゲージをとナット溝があうようにナットを加工する必要があります。
弦のゲージと弦の高さの目安を知りたいなら
Jim Dunlop (ジム ダンロップ) DGT04 System 65 String Action Gauge ストリングアクションゲージ
対策として次の2つの対策があります。
- ナット溝にエポキシ系接着剤(瞬間接着剤)を流し込み溝を埋めて、再びナット溝を加工する方法
- 新しいナットに交換し、ナット溝を新たに加工する
では、次にそれぞれの特長を解説します。
接着剤を流し込む加工法についての作業
メリットとして、新しくナット加工をするよりも、手間がかかりません。
なぜなら、もうすでに形成されたナット溝を埋めて削るという少ない工程で済むからです。
接着剤の流し込む量を誤ると、接着剤が指板やネックのヘッド部分に付着し、汚れます。
新しいナットに交換し、ナット溝を新たに加工する
ナットを新しく加工したほうが見た目も綺麗に仕上りますが、ナット交換をするリペアの技術が必要です。
ナット溝を削る作業だけでなく、ナットの形まで形成する必要があります。
ナットには、ナット溝があらかじめ加工されているタイプもありますが、あまりオススメしません。
なぜなら、あらかじめ加工されているナット溝と使用している弦の太さとあわないことが多いからです。
ナットを交換するなら、溝が切られていないナットを準備しましょう。
ナット溝を加工する方法について
鉄工やすりを使い、ナット溝を弦の太さに合わせて溝を加工します。
理想のナット溝の位置は、弦とナットの接合部分がナットの端(ブリッジ側)にあることです。
ナットの加工作業は、精巧な作業が求められます。確認作業が何度も必要です。
なぜなら、ナット溝を深く削り過ぎたら、また初めから新しいナットを加工し始める必要があるからです。
ナットの加工作業に自信がない人や初心者の人は、ナットを購入してナット溝の加工を繰り返し練習するか、楽器店やリペアマンに依頼しましょう。
一つの弦のみがビビる場合
一つの弦だけがビビる原因
ブリッジ部分やギターに取り付けてある部品が共鳴し、ビビっていると考えられます。
つまり、サドルに向かう弦の角度が不足している時です。
サドルに向かう弦の角度が不足していると、弦が大きく振幅します。
- 6弦5弦4弦
- 巻き弦で弦が太いため、弦が大きく振幅することでビビる原因となります。
- 3弦2弦1弦
- プレーン弦で弦が細いため、巻き弦と比べてビビる確率は少ないです。
弦の振幅が大きく弦のゲージ(太さ)が大きいと、フレットに弦が接触しやすくなり、弦がビビリます。
一つの弦のビビリ解消法
ビビリを解消するには、弦の振幅を小さくすることです。
弦の振幅を小さくするには、サドルの高さを高くして、弦の張力を上げます。
エレキギターでサドルの高さを上げるには、ストラトやテレキャスターであれば、イモネジ部分を六角レンチでサドルの高さを上げることができます。
ダンカンのストラトのブリッジ交換完了!!
— 🍑🍑まっつん🍑🍑【まっつん@ponko2】 (@mattunmat) September 13, 2020
サビサビだったブリッジがピカピカになりました!
今からオクターブピッチとか弦高調整とかしなきゃだけど、楽しい!! pic.twitter.com/0asN1VdDKE
レスポールであれば、ブリッジの左右外側に二か所付いているブリッジ高さ調整ネジをラジオペンチで回します。
レスポールのABR-1(ブリッジ)が湾曲する…持ってるレスポール2本とも若干出てるらしい(汗)弦高を下げるため、1弦と6弦のサドルの溝を少し深めに削って、2弦〜5弦の下がってる部分に高さを合わせてからの弦高調整。こんなこともあるんだねぇ(驚) pic.twitter.com/u6ny1nUUnq
— ヒロ (@hiro_the_rock) December 13, 2020
アコギの場合はサドルを削って低くすることしかできません。
アコギの弦高をサドルであげるなら今のサドルよりも高いサドルと交換し、適切な高さにサドルを加工する必要があります。
アコギのサドルの加工は精巧な技術レベルが要求されます。楽器店やリペアマンに依頼することをオススメします。
特定のフレットがビビる場合
特定のフレットがビビる原因
特定のフレットがビビる原因として考えられること
- 他のフレットよりも低くなっている
- 特定のフレットが、温度や湿度の影響で指板が膨らみフレットが高くなっている
特定のフレットだけで演奏するとフレットが摩耗し削れます。
次第にギター全体のフレットが不揃いになります。
したがって、弦を押さえた時に、弦高が下がり特定のフレットと弦が接触し、ビビりの原因となります。
例えば、3、4弦の5~6フレットあたりがビビっているのであれば、7フレットが高くなっている可能性があります。
この場合は5~6フレットあたりを頻繁に使用していて摩耗しているからだと推測できます。
つまり、頻繁に同じポジションで演奏する場合は、特定のフレットがビビる原因となります。
特定のフレットのビビリ解消法
フレットのすり合わせとは、全てのフレットの高さを揃えることです。
サンドペーパを使って、フレットを削り、フレットの高さを揃えます。
フレットのすり合わせすることでフレットの高さと弦高が均一になります。
弦高が均一になることで、弦がフレットに接触しなくなり、ビビりが解消します。
ネック反りによりビビる場合
ネック反りのビビりの原因
ネックは、反り方によって、弦がビビりやすくなります。
特にビビリが生じやすいのは、ネックが「逆反り」もしくは「ねじれ」の状態のときです。
逆反りしている状態で弦を弾くと、弦が開放弦から5フレットに接触し、ビビります。
つまり、逆反りしているとローポジションあたりがビビリやすくなります。
ギターのネックの反り方は、大きく分けて「順反り・逆反り・ねじれ」の3パターンに分類されます。
- 順反りとは、弦に対してネックが「弓」のような状態になっていること。
- 逆反りとは、順反りと反対方向にネックが反っているような状態。
- ねじれとは、順反りと逆反りが複合している状態。
ギターによっては、全く反らないネックもあれば、常に反るネックもあります。
ネック反りの原因
ネック反りの主な原因としては次の2つが考えられます。
- 弦の張力
- 木材の状態や湿度
弦の張力
弦の張力があり過ぎるとネックに負荷がかかり過ぎて、ネックが順反りしやすくなります。
逆にネックの負荷があまりかからないと、ネックが逆反りしやすくなります。
ギターやベースに弦を全て張った状態での張力は、ギターであれば50~70kg、ベースであれば90㎏です。
負荷の値は、楽器や弦の種類、ギターのヘッドの角度により異なります。
つまり、楽器に弦を張った状態で弦の張力とのバランスが崩れるとネック反りの原因となります。
木材の状態や湿度
ネック材は、湿度や気温の変化で、目で見て確認できないほど小さく膨張と収縮を繰り返します。
なぜならネック材は、水分をごくわずか含んでいるからです。
ごくわずかに含んでいる水分量の比率を含水率と呼びます。
含水率が高いと、木材の膨張や収縮の変化が大きく、ネック材が動きやすいです。
つまり、含水率が高いネック材ほどネックは反りやすくなります。
ネック反りによる弦のビビり解消法
- トラスロッドの調整
- ネックアイロンを使用
軽度のネック反りであればトラスロッドの調整で修正が可能です。
トラスロッドの調整には、ロッドの稼働領域があるため、トラスロッドの調整での修正には限りがあります。
ネック反りが、簡単に判断するには、目で見て明らかに反っているとわかれば、重度な反りです。
ネックの反り方の確認方法は次の通りです。
- 目視で確認
- 弦の1フレットと最終フレットの弦を押さえて確認
ネック反りの症状の判断が難しい場合は、楽器店やプロのリペアマンに依頼しましょう。
トラスロッドでの調整とは、ギターのネックの中に埋め込まれている金属の棒で回してネック反りを修正・調整すること。
トラスロッドを回すには、六角レンチ(プラスドライバーで回すものもある)を使います。
重度の反りやねじれなどの複雑なネックの反りは、トラスロッドの調整では解消できません。
主にフレットのすり合わせやネックアイロンを使用しての調整で修正します。楽器店やプロのリペアマンに依頼しましょう。
〇トラスロッドの調整の注意点
- 必ず弦を張った状態で行うこと(難しい場合はやや逆反りにしておくこと)
- 軽度な順反り・逆反りに対応する調整で、複雑なねじれなどによるネックの反りには調整できない
- トラスロッドの回し過ぎに注意
弦を張った状態でロッドの調整をする理由について
通常、弦が張ってある時の状態で、ネックが真っ直ぐにならないといけないわけです。
弦を張らない状態でトラスロッドの調整すると、弦を張ったときにネックは、順反りします。
なぜなら、弦を全て張った状態でネックにかかる張力は、ギターであれば50~70kg、ベースであれば90㎏程度あるからです。
弦を張った状態でのロッドの調整がしにくい場合は、やや逆反りに調整して下さい。(やや逆反りという、あいまいな表現なのは、張力の違いやネックの材質などで異なるため。)
ネックの反りの確認は、弦を張った状態で確認するようにしましょう。
弦のビビリの代表的な発生箇所の原因と解消法のまとめ
ハイポジションのビビリの原因
ネックの接合部分からの順反り(ハイ起き)
ローポジションのビビリの原因
ネックの逆反り
ハイポジション・ローポジションのビビリ解消法
ネックの反りを真っ直ぐにする
- トラスロッドの調整
- ネックアイロン
ネックの反りによるビビリの原因
ネックが「逆反り」もしくは「ねじれ」の状態のとき
ネック反りによる弦のビビり解消法
ネックの反りを真っ直ぐにする
その方法は
- トラスロッドの調整
- ネックアイロン
開放弦でのビビリの原因
ナット溝と弦の太さがあっていない
開放弦でのビビリ解消法
弦のゲージ(太さ)に合わせてナット溝を加工する
一つの弦のみビビリの原因
654弦(巻き弦)は、サドルに向かう弦の角度不足で弦の振幅が大きくなっている
321弦(プレーン弦)はナット溝と弦の太さがあっていない
654弦(巻き弦)のビビリ解消法
サドルの高くして弦の張力を上げる
321弦(プレーン弦)のビビリ解消法
弦のゲージ(太さ)に合わせてナット溝を加工する
特定のフレットがビビる原因
演奏頻度の高いポジションでのフレットが摩耗し、弦高が低くなる
指板が膨張し、フレットが浮いて弦がフレットにあたる
特定フレットのビビリ解消法
全てのフレットの高さをそろえる(フレットのすり合わせ)
ビビりのリペア料金
島村楽器店リペア料金
- フレットのすり合わせ12100円〜
- ナット交換9460円〜
- ネック修正13200円~
石橋楽器リペア料金
- フレットのすり合わせ12000円〜
- ナット交換8000円〜
- ネックアイロン(フレットすり合わせ込み)18000円~
イケベ楽器リペア料金
- フレットのすり合わせ10500円~
- ナット交換8800円~
- ネックヒーター加工11000円~
私がギター弦のビビりを解決している方法
私が楽器店でお客様から受けた弦のビビリのリペアは、ネックの反りを直すかナット加工をするか、フレットのすり合わせのいずれかで、ほぼ解決していました。
ネックの反りを直すトラスロッドの調整は自分で作業できる人が多いと思いますが、ナットの加工やフレットのすり合わせは、経験を積んでいかないと初心者がいきなり挑戦するのは、失敗する確率が高い作業です。
自分自身で修理をしたいと考えるリペア未経験者の方は、まずジャンクギターを購入して、練習を何度か行ってから、ご愛用のギターをメンテナンスすることをオススメします。
自分自身で楽器をメンテナンスすることでよりギターを大切にすることができます。
作業に自信がない、失敗したくない、手間を省きたいという考えであれば、楽器店のリペアマンや店員さんにリペアの相談してみましょう。
私の個人的な考えですが、ビビリを気にしているプレイヤーさんは、それだけ楽器に対して気にかけている、つまり楽器を大切にしている愛情の証だと思います。
この記事が少しでも皆様のお役に立てれば嬉しいです。
自分で修理をしてみたい方はアマゾンでジャンクギターや中古ギターを探してみてください。
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