この記事ではBOSSのVO-1 Vocoder(ボコーダー)のレビューと使い方を解説しています。
VO-1 Vocoder(ボコーダー)を効果的に使うためにはどのような使用方法があるのでしょうか。
BOSS/VO-1 Vocoder(ボコーダー)とは?
ボコーダーとはボイス・エンコーダーの略語で、その歴史は古く戦時中の電話回線の内容が漏れないように、音声信号を圧縮する声の合成措置として通信業界で生まれました。
1950年あたりからボコーダーを楽器として使用するために音楽的な実験が繰り返され、1970年に入ってからシンセサイザーに改良を加えたものが、映画音楽やポピュラー音楽にも使われるようになりました。
音楽の世界でのボコーダーの使用は1980年代に全盛期を迎え、たくさんのヒット曲に導入されました。何度でもリバイバルで流行して、現在でも馴染みのある曲がたくさん存在します。
この頃ボコーダーのサウンドは別名「ロボットボイス」とも呼ばれていました。ロボットがしゃべるように歌うように聞こえる機械的な音からの連想されたのでしょう。
ボコーダーの使用で成り立っている曲は、キーボーディストによるものがほとんどですが、そんな印象的なボコーダーサウンドをギターで出してしまえるというのが「BOSS VO-1」です。
BOSS/VO-1 Vocoderのスペック
商品名 | VO-1 |
メーカー | BOSS |
概要 | ボコーダーサウンド |
特徴 | ・面白便利エフェクター ・飛び道具に |
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BOSS/VO-1 Vocoderのコントロール部
- ■ MODE(4つのモードがあります。)
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- 1.ADVANCED
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一番綺麗に抜けの良いトーンで喋っている様に聞こえます。ROLANDの最新技術で古いボコーダーのトーンを改善しています。
- 2.VINTAGE
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こちらは往年のボコーダーの懐かしのトーンの再現モードです。
- 3.CHOIR
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マイクで声を入力しなくてもボコーダー風になるというモードです。広がりがあるシンセサイザーのようなサウンドでコード弾きに向いています。
- 4.TALK BOX
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トーキングモジュレーターのような効果がホースや面倒なセッティングなしで得られるモードです。
- ■LEVEL/BLEND
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2軸になっています。内側がLEVELで音量の調整ができます。
外側はBLENDでエフェクト音と原音のミックス具合を調整できます。
- ■TONE
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音の明るさを調整できます。
- ■COLOR
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VINTAGEとADVANCEDモードの時には「Voice Gender」として機能します。
何だか難しそうですが簡単に説明いたしますと、右に回せば出力される声のトーンが高くなり女性の声のようになります。
逆に左に回すと低くなり男性のバスのような低い声になっていきます。TALK BOXモードではDistortionとして機能します。
トーキングモジュレーターを使った世界的に有名ギターリフはBon Joviの「Livin’ on a prayer」でしょうか。あのような少し歪んだ感じのトーンを調整できます。
CHOIRモードでは「Voice Character」として機能します。CHOIRモードはマイクを使わないモードですので、出音の声のキャラクターを調整できます。
BOSS/VO-1 Vocoderの機能
機能1 MICの入力
マイクのインプットジャックが付いていますので、そこにキャノンケーブルでマイクを接続します。
VO-1の機能を発揮するにはマイクの接続が必須ですので、マイクとキャノンケーブルを準備しましょう。
機能2 センド/リターン
センドリターンがついています。
歪みや空間系のエフェクターを接続して独自のVO-1サウンドを作ることが出来ます。
BOSS/VO-1 Vocoderのデメリット
デメリット1 接続順でエフェクトに影響
直列で接続する場合には後段のエフェクトの影響が大きく出ます。
なので、ソロなどで歪ませている状態でVO-1をオンにしたい場合は、歪みの後の方が綺麗な効果を得ることが出来ます。
VO-1の機能を十分に生かすためにマイクを接続するわけですが、マイクのインプットがギターのインプットの下に位置しています。
そのため、ギターシールドに比べて太くて大きいキャノンジャックを接続しますと、前段に来るエフェクターとの距離を取らなくてはいけなくなります。
この問題は好みの位置にカスタムしているエフェクターボードに、新たにVO-1を導入する際に中々やっかいな問題となります。
デメリット2 専用のマイクが必要
VO-1につないだマイクはVO-1をコントロールする専用のものとしてしか機能いたしません。
ギター兼ボーカルの方のライブでの使用の場合は別のマイクを準備する必要があります。
マイクスタンドをもう一本立てるのか、マイクが二本装着できるアタッチメントを準備するのかと中々セッティングに手間がかかります。
デメリット3 声以外の音にも反応してしまう
VO-1はマイクから入ってくる声の信号を筐体内でギターの音と混ぜてエフェクト音と出力しますので、マイクから入ってくる他の楽器の音にも反応してしまいます。
つまりモニターから返ってくる自分のギターの音や、立ち位置によってはベーシストの生音なども拾ってしまいます。
しかし立ち位置を考え、モニターの返りの音量を考え、専用マイクを準備して、エフェクターのつなぐ位置を考えてとライブでの使用は慣れてくるまでは手間取ってしまいそうです。
BOSS/VO-1 Vocoderの使い方や音作り
使い方1 各モードを理解しての使用
曲調が古いR&Bやソウルであるならば「VINTAGEモード」が良いかもしれません。
CHOIRモードはキーボードのフィルターを動かしている程度の感じですので、わざわざVO-1でやる必要もないように思えますが、デメリットの項目で書きました「マイクケーブルの問題」から解放されますので、ライブでの使用は悩みどころではあります。
TALK BOXモードは似せてはいますが個人的には本物の音を知っている身として中々使うのを躊躇するモードではあります。ですが、トーキングモジュレーターの接続のわずらわしさを考えますと「これもありなのかな」とは思ってしまいます。
ちょっとした代用品にはなります。
使い方2 ベースでの使用
VO-1はベースの入力にも対応しています。
最近のBOSSのエフェクターにはベース専用のインップトが付いていますが、VO-1はギターと同じインップトでも大丈夫のようです。
ギターと同じように使用するわけですが、低音でのボコーダーサウンドもとてもユニークで繰り返すフレーズなんかにはハマります。
使い方3 CHOIRモードの活用
他のエフェクターとの併用がハマるのはCHOIRモードです。
マイクで入力する声との連動で個性的なサウンドを生み出すのがVO-1の売りですが、このモードは唯一マイクなしで使えるモードです。
もう別のエフェクターだと割り切ってセンドリターンにディレイやフェイザーをつなぎサイケなサウンド作ってしまうのも良いです。コード弾きやアルペジオに合うサウンドが作れます。
使い方4 本格的にライブで使用するならば
VO-1の機能を十分に発揮してバンドのアンサンブルにシンクロさせるためには、入力するマイクにこだわって欲しいところであります。
理想の条件はパワーがあり集音率が狭いダイナミックマイクです。
おすすめは「Electro-Voice ND96」です。
ローカットもマイクに付いていますのでボイスエフェクトを使用するにはもってこいのマイクです。
ただ使用には少しコツがいります。
他の楽器の音を拾ってしまわないように集音率の狭いマイクを使いますので、マイクに近づいて歌わないと綺麗に音を拾ってくれません。
よくあるシュアー58のようなつもりで歌っていますと声の入力にばらつきがあります。
あとは、音質はあまり気にしないのであれば立ち位置に注意が必要でしょうが、ある程度のクオリティを持つワイヤレスの「ヘッドマイク」ですと動きの拘束もなくパフォーマンスしながらVO-1の使用が出来ますね。
ワイヤレスという障害が起こりやすいものだからこそ、ライブで失敗は許されませんから、安価な中国製ではなく、メーカー品が安心です。
BOSS/VO-1 Vocoderを実際に使った感想
VO-1 Vocoderは接続に手間がかかったりでバンドの一員としてのライブ使用は限られてはきそうですが、カラオケをバックにインストの曲のソロライブなどでしたらVO-1の持ち味を発揮してインパクトを与えられそうです。
あとは「ルーパー」でVO-1の音をどんどん重ねていっての即興演奏なんかは楽しそうですしハマりそうですよね。
レコーディングでは自由な発想が音に変換されて記録として残せるから問題なさそうですし、何よりVO-1をつないで弾いているだけで、どんどん曲のアイデアが浮かんできます。
BOSS/VO-1 Vocoderはこんな人におすすめ
■ ボコーダーの存在は知っていて興味はあったが、シンセサイザー専用の物だと思ってた。
■ バンドのメンバーから曲のアレンジで「変わったエフェクト音が欲しい」とのリクエストがあった。
■ ちょっとお遊びで「ボンジョビ」のカバーバンドをやる
「インスピレーションを掻き立て使う者を夢中にさせる」そんなキャッチコピーが合いそうなエフェクター「VO-1」です。
発売当時はBOSSのエフェクターにしてはお値段高めでしたが、なぜかどんどん値下げされていっています。この記事を参考にして使いこなしていただければ幸いです。
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