RV-500とは、BOSSから発売されたハイエンド・リバーブエフェクターです。
黒で統一されたスタイリッシュなボディには、BOSSの考えるリバーブのすべてが詰まっています。
超高音質処理、エフェクトの再現度を高めるBOSS独自のアルゴリズム、操作性の高さ、A/B Simulモードやデジタル・ディレイモードといった多くの使える機能が特徴です。
BOSSのリバーブエフェクター最高峰ともいえるRV-500を、さらに詳しくレビューしていきたいと思います。
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BOSS/RV-500 REVERBのスペック
商品名 | RV-500 REVERB |
メーカー | BOSS |
概要 | リバーブ |
特徴 | リバーブもディレイも |
BOSS/RV-500 REVERBの音質や特徴
超高音質なリバーブエフェクト
RV-500のサウンドを聴いてみると、まずその音質の良さに気づくはずです。
それもそのはず、RV-500では信号の入力から出力まですべて32bit float演算と96kHzサンプリングレートで処理され、非常に高音質なのです。
解像度が高く、透き通った心地よいサウンドです。
また、RV-500のサウンドの良さは音質の高さだけではありません。
RV-500はBOSS独自の高性能リバーブ・アルゴリズムによって、自然なリバーブサウンドを再現するのです。
良質なリバーブとそうでないリバーブを分けるポイントは、リアルな反射と減衰感にあります。
サウンドの反射と減衰感のどちらかでも不自然だと、それだけでサウンドが嘘臭い(デジタル臭い)というイメージを持たれてしまいます。
特に、マルチエフェクターといったデジタルエフェクターだと、このような現象が起きてしまいがちです。
さすがはBOSSリバーブ最高峰です。サウンドに一切の妥協も感じられません。
12モード21タイプのリバーブモード
RV-500には12モード21タイプのリバーブがあり、王道のものからRV-500にしかない個性的なものまで揃っています。
モードは以下12種類です。
ROOM:室内での残響をシミュレート(TYPE:AMBIENCE/SMALL/MEDIUM/LARGE)
HALL:コンサート・ホールでの残響をシミュレート(TYPE:SMALL/MEDIUM/LARGE)
PLATE:クラシックなスタジオ・タイプのプレート・リバーブをシミュレート
SPRING:ギター・アンプ内蔵のスプリング・リバーブをシミュレート(スプリングの本数は1-3本まで切り替え可能)
SHIMMER:ピッチ変化させたリバーブを2声加えることが可能
FAST DECAY:減衰が早く、深く効果をかけても演奏の妨げにならないリバーブ
EARLY REFRECTION:エンベロープの選択が可能な初期反射音のみを抜き出したリバーブ(TYPE:1/2/3/4)
NON-LINEAR:エフェクト音の減衰や、立ち上がりが特殊なリバーブ(TYPE:GATE/REVERSE/NON-LINEAR)
SFX:特殊な効果のリバーブ(TYPE:LO-FI/SLOWVERB/STORM)
DUAL:2つのタイプを同時に使用可能なリバーブ(TYPE:ROOM/HALL/PLATE/SPRING)
SRV: Roland Digital Reverb SRV-2000のモデリング
SPACE ECHO: Roland Space Echo RE-201のモデリング
出典:https://www.boss.info/jp/products/rv-500/
また、リバーブモードの中にはリバーブタイプも選択できるものがあります。
たとえばROOM(ルーム)の場合には”TYPE:AMBIENCE/SMALL/MEDIUM/LARGE”とあるように、シミュレートする室内の大きさを選択できます(LARGEなら広めの室内など)。
さらに、すべてのモードでパラメーターを編集することで詳細な音作りが可能なので、より自分好みのリバーブを探求することができるしょう。
例えば、PLATEモードのTIMEとLEVELのパラメーター値を下げ、サウンドに厚みを加えるといったセッティングにしたりすることも。
このように、ただモードとタイプを選択するだけではなく、そこからより細かいサウンドメイクを行うことができるのです。
ちなみにRE-20も類似していますのであわせてチェック!


充実した機能と操作性
RV-500は、その本体に装備されているLCDディスプレイや3つのフットスイッチ、パラメーターノブ、ボタン類によって高い操作性を実現しています。
さらに、この操作性の高さゆえライブといったリアルタイムでのコントロールにも十分対応できるのです。
見やすいLCDディスプレイでは、いま設定されているパッチやステータスといったものを瞬時に確認でき、またそれらを編集するとなったときにもディスプレイをパッと見ておこなえるのでかなり役立ちます。
利便性の高い3つのフットスイッチ
また、3つのフットスイッチの利便性も非常に高いです。
たとえば、左のフットスイッチをパッチAのオン/オフ、真ん中をパッチBのオン/オフ、右をパッチCのオン/オフに設定したり、この状態から右のフットスイッチのみをタップテンポスイッチにしたり…。
このように、3つのフットスイッチにどの機能を割り当てるかを自分で選択することができるのです。
あらかじめフットスイッチに機能を割り当てておけば、ライブの時にもフットスイッチを踏むことで瞬時にその機能を呼び出すことができます。
A/B Simulモードとディレイモード
A/B Simulモードでは、2つのパッチを同時に使用することができます。
左のフットスイッチをパッチAのオン/オフ、真ん中のフットスイッチをパッチBのオン/オフの機能を割り当て、パッチAとパッチBを両方オンにすれば、それぞれのサウンドが混ざり合います。
パッチAにはこのリバーブ、パッチBにはあのリバーブという風に組み合わせてみると、真新しいリバーブサウンドを発見できるかもしれません。
また、RV-500にはパッチ1つにつき1つのディレイモードがあり、リバーブセクションとは独立して内蔵されています。
そのため、パッチAではROOMと薄めのディレイ、パッチBではSHIMMERに濃いめのディレイといった感じで、パッチごとにディレイモードを設定することができます。
その上でA/B Simulモードも使用してその二つのパッチを同時に使用したりと、組み合わせ次第で非常に複雑な音作りも可能です。
使いこなすのはやや難しそうですが、こうした自由度の高さは数あるリバーブエフェクターの中でも最強クラスだと言えそうです。
MIDI、外部フットペダル、PC接続に対応
RV-500は本体のみで操作を完結させることが可能ですが、外部機器を接続することでより利便性を高められるのです。
MIDI接続や外部フットペダル接続によって、外部機器でRV-500を操作したり、その機能を拡張したりすることができます。
また、エクスプレッションペダルを接続すれば足元でパラメーターの値を変更することができます。
通常なら手でパラメーターノブを回してパラメーターを変化させるところを足でそれをおこなうことができるので、ライブ中のリアルタイムでの音色の微妙な変化もおこなえます。
さらに、RV-500はPC接続にも対応。
PC用ソフト”RV-500 Editor”では、RV-500で使用するパッチをPCで編集したりPC内に保存しておくこともできます。
PCでの方が素早いパラメーターエディットが可能なので、PCでパッチを編集してからRV-500にパッチを転送という風に使えばかなり効率的です。
PCをお持ちの方は是非一度使ってみてください。
BOSS/RV-500 REVERBのデメリット
電池の減りが早い
RV-500は、駆動方法は電池駆動とACアダプターでの電源供給の2種類です。
しかし、電池駆動の場合は注意が必要です。
そもそも単3アルカリ電池を4本とかなり電池を使うわけですが、それでも駆動時間は約4.5時間とかなり短いです。
リバーブは常時オンにする機会もあるエフェクターなので、この約4.5時間は正直なところ短すぎます。
そのため、電池駆動はACアダプターを忘れてきた時用といった臨時的な使用用途に留めておく方が良いでしょう。
基本はACアダプターでの駆動がベストかと思います。
しかし、ACアダプターは別売であるため、持っていない方は別途費用がかかるのでそこだけは注意です。
操作には慣れが必要
RV-500は多機能であるがゆえ、使いこなすには少し時間がかかるかと思います。
もちろんRV-500は操作性が高く、自分の求める情報への瞬時なアクセスがしやすいです。
しかし、そもそもどのボタンを押せばその情報にアクセスできるのかといった使い方を知っていないといけません。
まずは、使い方に慣れることが大切です。
特に初心者の方にとっては使いはじめは「?」なことが多々あると思います。
「この機能なんだ?」「どうやって〇〇するんだ?」といった困惑も最初のうちはしょうがないです。
しかし、取扱説明書を見つつ実際に操作して慣らしていけば必ず使いこなせるようになるので、心配する必要はありません。
いったん使いこなせるようになれば、RV-500の真価を余すとこなく発揮することができます。
RV-500の使い方や音作りのコツ
個性的なSHIMMERモードで音のオリジナリティを高める
先ほどいくつかリバーブ・モードを紹介しましたが、その中の個性的なモードは結構飽きないものばかりです。
例えば、SHIMMERモード。
フワーッと広がるリバーブが神秘的な雰囲気を醸し出しています。
特に、ヴァイオリン奏法との相性抜群。
イマイチ想像がつかないかもしれませんが、実際にそのサウンドを聴いてみるときっと驚くことでしょう。
こんな感じで言葉ではなかなか伝わりにくいとは思いますので、動画などで実際にその音を聞いてみてください。
EARLY REFRECTIONもオススメしたい
また、個人的にはEARLY REFRECTION(アーリーリフレクション)モードが好みです。
SHIMMERなどより派手なリバーブモードはあるものの、EARLY REFRECTIONは地味ながらなかなか使えます。
EARLY REFRECTIONは、一度だけサウンドが反射するモード。
パッという感じで広がるリバーブで、普通にピックで弾いて使う分にはやや物足りない感じはします。
しかし、指弾きで弾いた時に化けます。
指弾きでミュートを交えつつリズムを刻めば、パッという薄めのリバーブが華やかさを演出してくれます。
他のリバーブと違ってしつこい印象はなく、爽やかにフレーズを彩るのです。
もちろん、RV-500の魅力的なリバーブ・モードはSHIMMERやEARLY REFRECTIONだけにとどまりません。
自分好みのモードを見つけて、自分にしか出せないサウンドを作ってみてください。
常時かけっぱなし
これはリバーブエフェクターの一般的な使い方だと思います。
「なら普通のリバーブエフェクターでいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、このRV-500を使えばさらにもう一段ステップアップした使い方ができます。
たとえば、曲によってリバーブの種類を変えるというようなことができます。
バラードの裏ソロは少し深めのHALLモード、ポップスのバッキングは薄めのSPRINGモードといった風に使い分けるといった感じです。
これによって、曲の雰囲気を壊さずリバーブサウンドを曲に適応させることができます。
また、もしライブでバラード曲の次がすぐポップス曲という順番のセットリストだったら、バラード曲の終わりにフットスイッチを押してパッチを切り替え、瞬時にポップス曲に対応させるといったこともできます。
ディレイモードとの併用
RV-500にはリバーブだけでなくディレイも搭載されており、同じパッチ内でリバーブとディレイを併用することが可能です。
これを利用すれば、空間系エフェクトはこの一台で事足りるでしょう。
通常ならディレイエフェクターとリバーブエフェクターの二台を使うところを、RV-500一台で完結させることができるということです。
たとえばギターソロ時に厚みと残響音が欲しいというときには、ディレイをうすーくかけてその上から適度なリバーブを足せばOKですが、RV-500なら一台でそれができます。
ディレイとリバーブを併用する場面は割とあると思いますが、そういった場面ではこの機能がなかなか役立つと思います。
BOSS/RV-500 REVERBと似ているStrymonのBigSkyと比較
RV-500の対抗馬を挙げるとしたら、StrymonのBigSkyが最初に挙がるのではないでしょうか。
BigSkyはRV-500と同様、MIDIといった外部機器接続に対応、超高音質なリバーブサウンド、詳細な音作りが可能という特徴を持っています。
どちらもかなり似たリバーブエフェクターですが、どちらかを買うとなったら個人的にはRV-500の方がいいかなと思います。
というのも、
- 大型LCDディスプレイ
- A/B Simulモード
- 独立したディレイモード
- フットスイッチ割り当て(アサイン)機能の充実
これらの仕様や機能はRV-500にしかありません。
対するBigSkyはこれらに勝る特徴はあまりないように思います。
もちろん、音質の若干の違い(RV-500はダイナミックなエフェクトのかかり具合、BigSkyは自然で上品なエフェクトのかかり具合)やリバーブモードの違いはあります(リバーブモードはRV-500、BigSky両方12種類だが、いくつかモードが異なる)。
しかし、そこは好みの問題の範疇でしょう。
また、価格も
- RV-500 →3万円台
- BigSky → 5万円台
と、かなりの差があります。
BOSS/RV-500 REVERBはこんな人におすすめ
いかがだったでしょうか。
個人的には、
- 多機能なリバーブエフェクターが欲しいという方
- リバーブサウンドにこだわりを持つ方
- ディレイも使う方
に、RV-500は特に向いているかと思います。
確かに最初は操作に慣れるのに多少苦労するかと思います。
しかし、一度慣れてしまえばRV-500の魅力に取り憑かれること間違いなしです。
是非一度、RV-500でBOSS最高峰のリバーブサウンドを体感してみてください。
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