DD-500/DD-200は、BOSSから発売された次世代型ディレイペダルです。
32ビット処理と96kHzサンプリングレートによる超高音質のディレイサウンドを実現。
ディレイの種類も12種類と豊富で、サウンド面におけるこだわりを強く感じられます。
さらにサウンド面だけにとどまらず、直感的におこなえるパラメーター操作やメモリー機能、外部フットペダル対応、USB・MIDI接続対応と操作面・機能面においても非常に優れています。
そんなDD-200/DD-500を他機種との比較やレビューを通してより詳しく紹介していきたいと思います。
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DD-200とDD-500を比較
DD-500の特徴
DD-500は、BOSSのディレイペダルDDシリーズの頂点に君臨するフラグシップモデルのディレイペダルです。
白と黒のボディカラーがスタイリッシュでカッコよく、近未来的なデザインとなっています。
大きさはDD-200(後述)よりもひとまわり大きい分、フットスイッチが1つ多いため、直感的な情報へのアクセスが可能となっています。
また、大型LCDディスプレイによるセッティングの際の視認性の向上や、操作性を高めるボタン類の増加などDD-200よりも高いアビリティを持っています。
特に、DD-200にはない大型LCDディスプレイによってパラメーター値やセッティングがひと目見ただけでわかるので、ライブステージなどでの咄嗟の音作りにもすぐ対応することができ、利便性が高いです。
DD-200も他のディレイペダルに比べれば直感的な操作が特徴的に感じられますが、DD-500のほうがよりその特徴を顕著に体感できるかと思います。
DD-200の特徴
DD-200は、DD-500のサウンドや機能面を継承しつつ、よりコンパクトにまとめられたディレイペダルです。
その魅力はなんといってもこのボディサイズです。
エフェクターボードのスペースが気になる方や重たい荷物を増やしたくないという方には良い点です。
また、価格もDD-500より安いです。
- DD-500 → 税込35325円(オープン価格)
- DD-200 → 税込27000円(オープン価格)
こうしたコストパフォーマンスの高さも魅力的です。
さらに、本気の魅力はボディサイズとコストパフォーマンスだけにとどまりません。
気になる音質ですが、ぶっちゃけDD-500とほぼ違いはありません。
DD-500と同様に、32ビット処理と96kHzサンプリングレートによる超高音質を実現しています。
とりあえず音質面については後で紹介したいと思います。
また、メモリー機能やMIDIといった要素もDD-500を踏襲しています。
確かにLCDディスプレイがなかったり、フットスイッチが少なかったりと利便性では若干DD-500よりもやや劣りはしますが、それでも高い操作性を持っていることは確かです。
「DD-500ほど大きくなく、多機能でなくてもいい」という方にはちょうどピッタリでしょう。
BOSS/DD-500とDD-200の音質や特徴
高品質で種類豊富なディレイサウンド
DD-200/DD-500のディレイサウンドはとにかく高音質です。
先ほども紹介した通り、32ビット処理と96kHzサンプリングレートによって生み出されるサウンドは大変クリアです。
サウンドの傾向としては、温かみというよりもキレのある透明感があるといった印象です。
しかし、だからと言って温かみのあるサウンドが苦手だというわけではありません。
Roland RE-201テープエコーを再現した”TAPE”モードでは、RE-201らしい温かみをうまく表現しています。
こういった透明感のあるハイファイなディレイサウンドを得意としつつも、ヴィンテージ感があり温かみのあるローファイなディレイサウンドも表現可能と、サウンドの対応範囲が非常に広いです。
また、選択できるディレイサウンドの種類もまた豊富です。
DD-500/DD-200は、12種類のディレイ・モードを搭載しています。
DD-500には、
・STANDARD:クリアなデジタル・ディレイ
・ANALOG:BOSS DM シリーズを再現したクラシックなディレイ
・TAPE:Maestro Echoplex やRoland RE-201、Binson Echorec2 などをもとに、テープ・エコー特有の温もりのあるサウンドを再現
・VINTAGE DIGITAL:80 年代テイストが味わえる初期のデジタル・ディレイサウンド。Roland SDE-2000、SDE-3000 やBOSS DD-2 を収録
・DUAL:異なるタイプのディレイを2つ選び、直列、並列、またはA/Bの入力ごとに3種類の方法で接続することができるディレイ・モード
・PATTERN:最大16ステップのディレイ・サウンドを自由に設定、リズミカルなパターンで出力するディレイ。ゲートをかけてスライサーのようなパターンを作ることも可能
・REVERSE:サイケデリックな逆再生ディレイ・サウンド
・SFX:特殊効果をもたらすユニークなディレイ・サウンド
・SHIMMER:ステレオ・ピッチ・シフター や Overtone によって音程を変えたディレイを加え、厚みを増すことができる幻想的なディレイ・サウンド
・FILTER:周期的なフィルター効果や、ピッキング・ニュアンスに応じてフィルターが変化するディレイ・サウンド
・SLOW ATTACK:アタックを抑えたボリューム奏法のようなディレイ
・TERA ECHO:BOSS TE-2 のような広がりと動きのある独創的なエコー・サウンド。オリジナルよりもエディットの幅が広く、より細やかな音作りが可能
https://www.boss.info/jp/products/dd-500/
合計12種類。
DD-200には、
• Standard:クリアなデジタル・ディレイ。PARAMノブで、ディレイのアタック感を調整可能
• Analog:BOSS DM シリーズを再現したクラシックなアナログ・ディレイ。PARAMノブで、キャラクターと歪み量を調整可能
• Tape:Roland RE-201 Space Echoの温かいテープ・ベースのサウンド。PARAMノブで、3つの再生ヘッドの組み合わせを選択可
• Drum:Binson EchoRec2をモデリング。PARAMノブで、4つの再生ヘッドの組み合わせを選択可能
• Shimmer:音程を変えた音を混ぜたディレイ。PARAMノブで、ディレイ音のきらびやかさを調整可能
• Tera Echo:広がりと動きのあるエコー・サウンド。PARAMノブで、エフェクト音のキャラクターを調整可能
• Pad Echo:浮遊感のあるディレイ・サウンド。PARAMノブで、エフェクト音のアタック感を調整可能
• Pattern:16ステップのディレイ・サウンドを組み合わせたリズミカルなサウンド。PARAMノブで、ディレイのパターンを選択可能
• Lo-Fi:音が歪んだファットなディレイ・サウンド。PARAMノブで、エフェクト音の歪み量を調整可能
• Dual:2つのディレイを直列に接続したサウンド。PARAMノブで、2つ目のディレイ・タイムを調整可能
• Reverse:逆再生するディレイ・サウンド。PARAMノブで、ディレイ音のアタック感を調整可能
• Ducking:入力に応じて自動で音量やフィードバックを調節するディレイ。PARAMノブで、入力音の感度を調整可能
https://www.boss.info/jp/products/dd-200/
こちらも合計12種類。
ディレイモードの数は同じですが、若干の違いがあります。
- DD-500
-
- VINTAGE DIGITAL
- SFX
- FILTER
- SLOW ATTACK
- DD-200
-
- Drum
- Lo-Fi
- Ducking
このように数は同じ12種類でも、DD-500にしかないディレイモード、DD-200にしかないディレイモードもいくつかあるため、一概に優劣をつけることはできないのです。
また、これらのディレイモード1つ1つをパラメーターによって細かくセッティングすることができます。
自分の気に入ったディレイモードをさらに自分好みにカスタマイズできるのです。
超高音質な上に豊富なディレイサウンドを搭載しているのは大変魅力的です。
膨大なメモリー数
DD-200/DD-500は音質だけでなく、機能も非常に充実。
メモリー機能では、自分の気に入ったカスタマイズサウンドをパッチ(プリセット)として本体に保存することができ、必要なときに本体のフットスイッチで呼び出すことが可能です。
その上、「DD-200では128」、「DD-500では297」の膨大なメモリー数を誇り、どちらの機種でもメモリー数で困ることはないでしょう。
すぐに操作できるフットスイッチ
また、DD-200/DD-500は本体のフットスイッチによって、快適で自由度の高いリアルタイムコントロールを実現しています。
DD-200には2つのフットスイッチが、DD-500には3つのフットスイッチが搭載されています。
そして、これらのフットスイッチには自分好みの機能を割り当てる(アサインする)ことができるのです。
フットスイッチが3つ搭載されているDD-500を例に挙げると、
- 左のフットスイッチをパッチAのON/OFF
- 真ん中ではパッチBのON/OFF
- 右をパッチCのON/OFFとする他、
右のフットスイッチにTAP機能をアサインし、パッチAやパッチBのディレイタイムをTAPでリアルタイムに変更したりと、フットスイッチの自由度は非常に高いです。
その他にも、
- HOLD(フットスイッチを踏んでいる間はフィードバックを継続)
- WARP(フィードバックと音量が徐々に大きくなっていく)
- MOMENT(ドライ音(原音)が消えディレイ音のみになる)
- FADE(ディレイサウンドをフェードイン/フェードアウトさせる)
など…。
割り当てられる機能は、この他にもまだまだたくさんあります。
このように、多種多様な機能をフットスイッチにアサインすることができるのです。
また、もしフットスイッチが足りなくなったとしても、外部のフットスイッチを接続できるので問題ないでしょう。
ルーパー機能
さらに、DD-500ではどれかのフットスイッチを2秒間押し続ける(DD-200では2つのフットスイッチを同時押しする)とルーパーとしても使用することができます。
録音時間は最大60秒。ディレイとは別のセクションで処理されるので、ディレイをかけつつそのサウンドを録音することも可能です。
外部機器接続
DD-500/DD-200は、MIDI接続、USB接続(DD-200はファーム・アップデートのみ可)、外部フットペダル接続に対応しています。
外部のMIDI機器を接続することによって、本体のスイッチ類を使わなくともMIDI機器によって遠隔で操作することができます。
また、外部のエクスプレッションペダルを接続して足元でディレイタイムを変更したりと、外部機器を接続することによってプレイの幅がより広がります。
さらに、DD-500の場合は、USB端子からPCと接続することで、”DD-500 Editor”というPCソフトを利用することができるのです。
DD-500 Editorでは、PCによってDD-500のパッチの編集やPC内へのパッチのバックアップといった全般的なパッチの管理を可能とします。
BOSS/DD-500とDD-200のここがデメリット
DD-200のMIDI端子
BOSSの200シリーズに共通して言えることではありますが、DD-200のMIDI端子は通常の規格よりも小さいステレオ・ミニ・ジャックとなっています。
そのため、通常のMIDIケーブルを接続することができません。
MIDI機器とDD-200を接続するためには<MIDI端子←→ステレオ・ミニ端子>の専用ケーブルが必要となります。
DD-200でMIDI機器を接続する場合は、専用MIDIケーブル代として別途費用がかかるので注意です。
別売ACアダプターは必須
DD-500/DD-200の電源は、電池かACアダプターかの2種類から選択できます。
しかし、電池での電源供給はあまりオススメしません。
というのも、電池での本体使用可能時間がそこまで長くないからです。
DD-500はアルカル電池で約7時間。DD-200は約4時間です。
また、単三電池が3、4本ほど必要なのでコスパはかなり悪いです。
そのため、ACアダプター接続での電源供給が無難ではないかと思います。
しかし、そのACアダプターもまた別売なので要注意。
パワーサプライでの電源供給も考えられるとは思いますが、通常のパワーサプライはDCアダプターでの電源供給のため使用することができません。
BOSS/DD-500とDD-200の使い方や音作りのコツ
SHIMMERモード
StrymonのBigSkyというハイエンド・リバーブエフェクターにもこのSHIMMERモードが内蔵されていますが、そのBigSkyにも負けないほどDD-500/DD-200のSHIMMERモードは完成度が高いです。
スーッと広がる残響音と高音が、神秘的な雰囲気を演出してくれます。
まさにDD-200/DD-500の超高音質あってのサウンドでしょう。
SHIMMERは言葉で表現するのが難しいエフェクトですが、実際に試奏や動画でサウンドを聴いていただければ、きっと驚くと思います。
ハイエンド・リバーブエフェクターにも負けないリバーブを内蔵したディレイエフェクターはもはや反則でしょう。
飛び道具としての音作り
前にも一部紹介したように、DD-500/DD-200には様々な種類の機能をフットペダルにアサインすることができます。
アサインできる機能には一見「?」と思うものもありますが、そういった機能も工夫次第ではツボなサウンドを作れたりするのです。
例えば、1つのフットペダルをTWISTモード(複数のパラメーターを自動で変化させるモード)にアサインし、ディストーションサウンドと一緒に踏み込めば、飛行機のエンジン音のような効果音が出せます。
「グイイィィィン!」という感じが個人的にはツボです。(どこで使うんだって話ですが。)
こんな感じで他のエフェクターと組み合わせてみたりすると、個性的なエフェクトが作れたりします。
新しいサウンドを探したりしてみるのもDD-500/DD-200の楽しみ方の1つでしょう。
DD-500 vs TIME LINE vs TIME FACTOR比較
ディレイエフェクターの代表機種といえば、StrymonのTIME LINE、EVENTIDEのTIME FACTOR、そしてBOSSのDD-500があげられるかと思います。
DD-500をメインに、この代表3機種を個人的な印象から比較してみたいと思います。
音質面の比較
まずは音質面から。
DD-500
先ほど紹介した通り、DD-500はその透明感のあるハイファイなサウンドが特徴的です。
高音域が非常に透き通っているため、ガラスのようなきらびやかさを感じられるかと思います。
TIME LINE
TIME LINEも似たような明瞭でクリアなサウンドとなっています。
しかし、DD-500とは異なりややサウンドのレンジの広さを感じられます。
DD-500がキレのある高音によるきらびやかさを持っているのに対し、TIME LINEは全音域が薄くフワーッと広がります。
そのため、TIME LINEの方がDD-500よりもディレイのかかり方が自然な印象を受けました。
Strymon
空間を感じさせる広がりのあるサウンドであるにも関わらず、サウンドの輪郭が失われていないのがさすがStrymonといったところです。
そして、TIME FACTORはこれら2機種とも異なり、サウンドの温かみと太さを持っています。
クリアで透明なサウンドは場合によっては無機質で冷たい印象を持たれがちですが、このTIME FACTORはとにかく温かみのある有機質なサウンドです。
また、十分な太さのあるサウンドはバンドアンサンブル内でも力強く抜けます。
音質面の比較をまとめてみると、
- DD-500
-
→ キレのある高音、ガラスのように透き通ったサウンド
- TIME LINE
-
→ 空間を感じさせながらもクリアなサウンド
- TIME FACTOR
-
→ 適度な太さと温かみを持つ音抜けの良いサウンド
このような感じです。(あくまで個人的な印象です。)
操作面の比較
続いて操作面。
共通して言えることは、どの機種も細かいところまで音作りが可能だということです。
そのため音作りの追い込みという点では違いはありませんが、操作性にはやや差が出ます。
結論から言うと、
DD-500は直感的な操作感がウリで、これだけ細かいセッティングが可能であるにも関わらず、操作が直感的でカンタンなのは素晴らしいです。
他の2機種は操作に慣れれば大したことありませんが慣れるまでは少し時間がかかりそうです。
とくに、TIME FACTORは多機能であるがために操作が難しいという評判が目立ちます。
コスパ面の比較
最後に気になるコスパ面です。
- DD-500
- TIME LINE
- TIME FACTOR
ざっとこのような感じです。
コスパ面ではDD-500の圧勝だと言えそうです。
高音質で操作もしやすい上にコスパも良いとは驚きですね。
BOSS/DD-500とDD-200を実際に使った感想
本体だけで音作りが完結する
外部フットペダル対応、MIDI接続対応と機能の拡張においては素晴らしいです。
しかし、DD-500/DD-200の真の凄さは本体だけでも全てを完結させることができることではないかと思います。
パッチの切り替えもフットスイッチ一つで、またTAP機能など通常なら外部のフットスイッチが必要な場面でも、アサイン機能によって本体のフットスイッチに必要とする機能を割り当てることができます。
ボディ自体は一般的なマルチエフェクターほど大きくないにも関わらず、本体で全ての操作が直感的におこなえる点は実際に使用してみても非常に便利に思います。
BOSS/DD-500とDD-200はこんな人におすすめ
いかがだったでしょうか。
DD-500/DD-200は、
- 多機能で高品質なディレイを求める方
- コスパを重視する方
- 本体だけでディレイ系の音作り完結させたい方
に向いているように思います。
超高音質なサウンド、直感的な操作感、コストパフォーマンスの高さ。
エフェクターブランドの老舗BOSSの提案する究極のディレイを、ぜひ一度体感してみてください。
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