MXR/M117Rとは?
世界初のフランジャーを作ったのは「MXR」であることは有名です。その伝説の名機「M117」の冠をつけたリイシュー・モデルが「MXR M117R」です。M117の機能はそのままに使いやすく改良されたフランジャーです。
大きな改善点は電源問題です。オリジナルのM117は、なんと100vACのみの対応でした。M117の後期型は18vアダプターの対応になりましたが、電源をひとつ確保しなくてはいけないので、改善されたようでされていませんでした。やっとM117Rから18vアダプターと電池駆動での使用が可能となり、電池の交換「2個使用」も裏ぶたのネジを外すことなく変えられる仕様になっています。
この記事ではMXRのM117R Flangerをさらに細かくレビューしていき、その効果的な使い方と音作りのコツをご紹介します。
EVH-117 Flangerとの違い
MXRのフランジャーと言えば「故エドワード・ヴァンヘイレン」の名前が必ず上がってきます。エディは生前たくさんの名演奏をMXRのフランジャーで彩り聞かせてくれました。エディのために作られたシグネチャー・モデル「MXR EVH-117 Flanger」は激しいジェット・フランジャー・サウンドが再現できます。一番の特徴といたしまして、世界を変えたインスト・ナンバー「Unchained」のフランジング・サウンドを一発で呼び出せる「EVH」のプリセット・ボタンが搭載されています。これがノーマルの117Rと最大の違いです。エディファンでしたら迷わずEVH-117でしょう。
MXR/M117R Flangerのスペック
商品名 | M117R |
メーカー | MXR |
概要 | フランジャー |
MXR/M117R Flangerの音質や特徴
特徴1 コントロール部
■ REGEN
フィードバックを追加する量を調整できます。
■ SPEED
揺れの速さを調整できます。
■ WIDTH
揺れの深さを調整できます。
■ MANUAL
周波数帯域を選択できます。
特徴2 トゥルーバイパス
リイシューされるにあたりトゥルーバイパス化されています。小さな変更かも知れませんが安心感があります。
特徴3 お馴染みの派手な揺れ
元祖フランジャー・サウンドの昔から変わらない派手な揺れが特徴です。ロックを聴いていれば必ず「MXRのフランジャー」の音を聞いたことあるはずです。
なぜならば、他のメーカーが作ったフランジャーだとしても、すべてM117を参考に作られているからです。
特徴4 調整次第で柔らかく揺れる
激しい揺ればかりが「売り文句」のM117Rですが「コーラス的」な使用も何とも言えない独特な音がします。使い方の項目で詳しく書きますが、ぜひとも試して頂きたいサウンドです。
MXR/M117R Flangerのデメリット
デメリット1 音量が下がる
オンにすると音が下がる気がします。下がると言いますか締まるみたいな感じですが、これはアナログ・ディレイと同じ「BBD素子」が使われている影響ではないかと思います。オンにした時の音の変化がアナログ・ディレイとよく似ています。歪んでいる時は気にならないですが、クリーン・サウンドで使う場合は高域が強調されトーンが変わってしまうので、気になる方はギター側のトーンを絞るなりの対応が必要です。ですが、このキラキラ感を活かして使うのは全然ありですね。
デメリット2 18v駆動
18vで動きます。別売りの専用のアダプターか9v電池二個が必要です。最近では18v駆動のエフェクターも増えてきて、対応できるパワーサプライも売られていますので大丈夫そうですが面倒ではあります。
MXR/M117R Flangerの使い方や音作りのコツ
使い方1 ワウとの併用
MANUALで高域に反応するよう「ツマミを3時あたり」に調整しておいて、ワウをM117Rよりギター側に繋ぎます。この状態でワウを操作しますと、踏み込んだときにフランジャーが反応するように派手にかかります。フランジャー側の揺れのスピードはそこそこにしておいて、ワウを踏む速さで強弱をつけるのがポイントです。フランジャーの周波数のコントロールをワウでやるというイメージです。単体で”飛び道具”として使うより派手な演出ができますので試してみて下さい。
使い方2 ショートディレイ風な奇妙な音
フランジャーの構造はアナログ・ディレイと似ています。ディレイでコーラスっぽい音が出せるように、フランジャーでディレイっぽい音が出せます。せっかくですから極端なセッティングにして使いましょう。
ショート・ディレイ風セッティング
▪ REGEN=10
▪ SPEED=0
▪ WIDTH=2
▪ MANUAL=0
これでショート・ディレイみたいな音になります。
単音リフをミュートして弾くと”パキパキ”したデジタル音みたいに聞こえて面白いです。
使い方3 コーラス的な奥行きある音
コーラス的な音も作れますが、コーラスより奥行きがあり綺麗な揺れの壁のような演出ができます。
セッティングは
▪ MANUAL=10
▪ WIDTH=4
▪ SPEED=6
▪ REGEN=0
これで、パリパリした感じの綺麗なコーラス風のサウンドになります。
Electro-harmonix Deluxe Electric Mistress XOとの比較
M117Rと双璧を成すエフェクターが、Electro-harmonix の初期の名フランジャー「Deluxe Electric Mistress」を現代のライブ・シーンでも活用できるように改良された「Electro-harmonix Deluxe Electric Mistress XO」です。
コントロールや操作性はほぼ同じですが、かかりのエグさはDeluxe Electric Mistress XOの方が上だと思います。曲にフランジング効果をふんだんに盛り込んでいたり、飛び道具的な使用を好むギタリストはDeluxe Electric Mistress XOを選んでいるようです。デフォルトのトーンがハイ寄りにセッティングされていますので、ハムバッキング搭載のギターとの相性が良さそうです。
One Control Dimension Blue Mongerとの比較
比較的新しいメーカーOne Controlの「Dimension Blue Monger」は、コーラスとフランジャーとの中間辺りのキラキラした緩い揺れが特徴です。「エグい存在感のある音」ばかりがフランジャー・サウンドではありませんが、M117Rで薄目セッティングにしても「M117Rの音だな」と分かってしまいます。歌モノなどに馴染ませるのはDimension Blue Mongerの方が良いかも知れませんね。お値段もかなり安めで極小サイズです。
MXR/M117R Flangerを使った感想
モジュレーション系の中ではフランジャーが一番好きです。セッティング次第でコーラスっぽくもなりフェイザーっぽくもなります。似せた場合、どちらよりも澄んでいて派手な感じがします。ジェット・フランジャー・サウンドはM117Rでやりますと何をやってもエディみたいになってしまいますが、それでいいと思います。
MXR/M117R Flangerはこんな人におすすめ
■ ヴァン・ヘイレンのファンだ。
■ マルチ・エフェクターのプリセットのフランジャーしか使ったことがない。
■ 持っているコーラスが当たり前すぎて飽きた。
間違いない王道の使い方はもちろんですが、色々なアプローチができますので「エディの使い方しかできない」みたいな先入観はもったいないです。使用例をいくつかあげましたが、ギターの種類やピックアップの違いなどでコントロールは変わってきますので色々と試してみて下さい。
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