Sentry Noise Gateとは?
激しく歪ませたギターサウンドのヘヴィメタルギタリストは「自分にとって最高の歪みを作っていくと、ノイズが酷くて処理に困ってしまう。」という悩みが付き物です。
それを解決する方法として「Noise Gate」を使用するのですが、機種によっては、原音への影響が出てしまったり、音の減衰の仕方が気持ち悪く聞こえてしまったりします。
TC ELECTRONICの「Sentry Noise Gate」は、数あるノイズゲートの中でも群を抜いた性能を持っています。
強力に歪ずませているギターサウンドな曲でも曲中や曲間に静寂が必要な場面がありますが、それを完璧にサポートしてくれるペダルです。
今回は歪み系ギタリストやメタラーに必須とも言えるTC ELECTRONICの「Sentry Noise Gate」のレビューと使い方を解説していきます。
TC ELECTRONIC/Sentry Noise Gateのスペック
商品名 | Sentry Noise Gate |
メーカー | TC ELECTRONIC |
概要 | ノイズゲート |
特徴 | 多彩な使い方可能 |
Sentry Noise Gateの使用アーティスト
TC ELECTRONICノイズゲート長年の愛用者「ANTHRAX」のスコットイアンの使用が有名です。
アンスラックスはご存知の通り「スラッシュメタル」のバンドですが、曲はバラエティーに富んでいます。
静寂なクリーンサウンドからヘヴィなリフに移行したり、突然のブレイクや転調などを所々に盛り込んでいますので、それに応じたノイズの完璧な除去が必要となってきます。
そこでSentry Noise Gateが必要です。
ヘヴィメタルギタリストは見た目やプレイからワイルドなイメージが強いですが、実はプレイ自体は繊細で完璧なものでなくてはなりません。
イアンスコットもそんな「激しく綺麗」なギターを弾く方ですので、ノイズゲートには沢山の要望があったに違いません。それを満たすものがSentry Noise Gateだったのでしょう。
Sentry Noise Gateの特徴
特徴1 コントロール部
- ■ THRESHOLD
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ゲートが閉じるサウンドレベルのタイミングを調整できます。
- ■ DECAY
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スレッショルドで設定した値を下回ったゲートの閉じる速度を調整できます。
- ■ DAMP
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ゲートが動作したらノイズを減衰させる量を調整できます。
3段階切り替えられるトルグスイッチが搭載されています。
- ■ GATE
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シンプルなクラシックなゲートモードです。
- ■ Tone Print
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世界中の有名プレイヤーの設定を無料でダウンロードして取り込み使用できる夢のモードです。
- ■ HISS
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ノイズリダクションに似た効果が得られるモードです。
特徴2 DAMP
他社のノイズゲートには見ない「DAMP」ですが、この機能が使い方と特徴の肝。
ゲートが閉じる量を設定出来るのですが、右に回し切ると完全に閉じてしまい、減衰の自然さが失われてしまいます。
DAMPの意味は「湿った」ですが、何故この機能のネーミングになったのでしょうか。
Sentry Noise Gateはノイズゲートですから「バッサリ」とノイズをカットしてしまうものです。それに対して「ノイズサプレッサー」は緩やかにカットしていく特性を持っています。
この中間あたりの設定ができるのがDAMPなので「緩く、しっとりと。」みたいな意味を込めてのネーミングではないでしょうか。
特徴3 トゥルーバイパス設計
TCのエフェクターは徹底して「トゥルーバイパス」に設計されていますね。ファンが多い理由の一つだと思います。
特徴4 センド/リターン・ループ
歪み系のエフェクターをセンド/リターンのループで縛ってしまい、徹底的にノイズを削除してしまう機能。
これにより従来のノイズゲートよりも自然かつ効果的にノイズを消すことが可能です。
BOSS NS-2にも付いていた機能です。
先に手に取ったのが「NS-2」でしたので「なんて便利なんだ」と驚いてしまいましたが、Sentry Noise Gateには更に「DAMP」や「Tone Print」などの便利機能がついていますよね。
Sentry Noise Gateのデメリット
デメリット1 HISSモード
ノイズリダクションに似た効果が得られるHISSモードですが「ギターサウンドの旨み」までカットしてしまいがちです。
使いこなすには経験が必要かもしれません。慣れるまではDAMPを駆使して「やんわり」と効果を得ましょう
Sentry Noise Gateの使い方やつなぎ方
使い方1 つなぎ方
セオリーからいけば「歪みの後に」が鉄板。
ですが、直列でつなぐ場合で、歪みエフェクターが2つ以内でしたら「歪みの後」もありでした。
と言いますか、そうした方が良い効果を得られました。
理由は簡単なのですが、ノイズの元凶はギターなわけで、それを増幅させているのが「歪みエフェクター」なのです。
ですから、増幅させる前にカットするという考え方です。
2つ以内という縛りは、それ以上になりますと、さすがに「優秀なSentry Noise Gateでも処理しきれないな」と感じてしまいました。
その場合はセオリー通りに「センド/リターン」で縛ってしまう方が良いです。歪み系エフェクター少な目な方は是非お試しを。
使い方2 センド/リターンの活用
シールドを通常より二本多めに準備しなくてはいけなかったり、接続にひと手間かかったりしますが、効果は抜群ですのでセンド/リターンを活用いたしましょう。
何と言っても利点は、スレッショルドを低く設定してもノイズが良い感じで消えていってくれることです。
この機能により、ナチュラルにノイズ除去できるのですから手間を惜しまず試してもらいたいです。
使い方3 夢の機能「Tone Print」モード
世界のトッププロの設定したセッティングを無料で拝借できる驚異の機能です。
スマホでダウンロードして、スマホから発振する信号をギターのピックアップに向けるとSentry Noise Gateが記憶します。
使い方も近未来的でテンションが上がりますよね。
もちろんTone Printモードを介して自分自身のオリジナルのセッティングも作れるように「Editor」がMac、iPadに用意されています。
Sentry Noise Gateを実際に使った感想
私自身、激しく歪ませるサウンドはあまり得意としていませんので、ノイズゲートは必要のないジャンルのエフェクターでした。
ですが、地下にあるライブハウスでの演奏の時に、電源や店の作りの関係からかアンプがノイズ酷く拾ってしまった時がありました。
お店の方に聞きますと「ギターの種類やエフェクターの種類によって時々起きる現象」だと言われました。
その日は、アースを取ったりして、お茶を濁した形でライブをこなしましたが、またこのような事態が起きた時の対応策として「ノイズゲート」の使用を試みてみた次第です。
その後もまれにこのような事態に見舞われましたが見事にSentry Noise Gateで対応可能でした。
それ以来エフェクターボードのポケットにはSentry Noise Gateを忍ばせています。
Sentry Noise Gateはハードな使用だとしても、ゲートのカーブがサスティーンを殺してしまわないので、私の様な「困った時の神頼み」的な使い方をしても高機能を直感的に操作できます。
Sentry Noise Gateはこんな人におすすめ
■ ヘヴィメタルバンドのギタリストとしてバンドを組んだ。
■ TC ELECTRONICのTone Printモードでのカスタムに興味がある。
■ 色々な場所で演奏するのだが、会場によりノイズが出る場合がある。
こんな場合にSentry Noise Gateはオススメです。
沢山の便利機能を詰め込んでいる「Sentry Noise Gate」ですが、操作は至ってシンプルに行えますのでご安心を。
個人的にはTone Printモードに感激してしまったのですが、TCは結構前から他のエフェクターで導入していますよね。
初めにも述べましたが、群を抜いた性能を持ったノイズゲート「Sentry Noise Gate」は未来から来たエフェクターと言えますね。
単に操作性やノイズ除去性能だけ見ればISP/DECIMATOR Ⅱの方が高水準というのが率直な感想です。
しかし、設定できることが多いため、使いこなせればSentry Noise Gateは確実に邪魔なノイズを消し去ることができます。
この記事で紹介したSentry Noise Gateはノイズゲートランキングでも上位です。
もっとノイズゲートの種類を見たいという方は以下の記事を参考にしてください
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